アメリカの1局2波の状況

アメリカの放送は210のDMA(指定市場区域)に分かれており、1つの会社が同じDMAで最大2つの放送局を所有することは許されている。これは「Duopoly」と呼ばれている。2つの局を持つことは可能だが、両方がその地域のトップ4局であってはならない。要するに1つの会社がすでにABC加盟局を持っていれば、同じ地域で持てるのはCBS、Fox、NBC加盟局以外のマイナーなネットワーク局、あるいは独立局になる。

しかし、経営困難等の理由から規制が免除されるケースがあり、2局以上の所有、さらにはトップ4局の複数所有もかなり存在している。また、抜け穴として、所有規制に触れる局は別の会社にもたせ、その局の運営を行う契約をする場合がある。例えば、Nexstar社は買収した際に規制上の理由で所有出来ない局はMission Broadcasting等に売り、買い手は放送局の運営をNexstarにまかせている。さらに、昨年の7月に控訴裁判所はトップ4局の所有に関する規制は根拠不明だとして、破棄の決定をしており、不明瞭な状況である。

現在、アメリカ最大の放送局所有会社のNexstarは3位のTegnaを買収しようとしている。買収後のNexstarは44州で、265局を持つことになる。2つ以上のトップ4局所有に対する規制だけでなく、所有する放送局の世帯リーチ率を39%としている規制にも触れる。Nexstarは規制からの免除を求め、FCCは2年以内に6局を手放すことで買収を許可した。しかし、DirecTVと8つの州はこの買収を阻止する訴えをしており、買収は一時的に停止になっており、これら裁判の行方が今後の放送所有規制の動きに影響する。

同じ地域で複数局を持つ理由は、統合による運営コスト削減であり、それにはニュース制作の統合も含まれる。DirecTVが依頼した調査によると、1つの会社がトップ4局中の2局以上を所有しているケースは116ある。98のケースは2局、15つは3局、3つは4局の所有である。DirecTVによると、これらのケースの殆どでニュースの制作が統合されている。98.2%のケースではニュース・ディレクターは同一人物であり、97.3%のケースではキャスター達を共有している。また、90.5%ではニュースサイトが同じであった。

同じ地域で複数の局を持ち、運営を同じにすることでコスト削減を出来るが、放送離れと言う根本的な問題の解決にはならい、一時的な延命策である。統合によりローカル局の放送内容が同じようになることで、逆に放送離れを加速される可能性もある。1局多波で得た延命期間中にこれまでの放送事業に変わる新たなサービスに移行出来るかが課題である。