Warner Brothers Discovery(WBD)は多チャンネルネットワーク事業を分離し、スタジオ事業とHBO(有料チャンネルとストリーミングサービス)をNetflixに売る。ComcastはNBCUniversalの多チャンネル向けネットワーク事業をVersantとして今月にスピンオフした。多チャンネル事業者では1位のCablevisionは多チャンネル事業者としては9位、ケーブルTV事業としては3位のCox Communicationsを買う。地上波放送局会社としては全米に200以上の局を持つ最大手のNexstarは4位のTegnaを買収する予定である。
放送業界の再編が活発になっているのには2つの理由がある。1つは放送事業がついに破綻し始めたからである。ピークでは世帯の86%が加入していた多チャンネルサービスの加入者は50%を割ろうとしている。ケーブルTV事業者はブロードバンドにフォカスし、収入を増やしてきたが、最近では通信事業者の5Gを使った固定ブロードバンドに加入者を奪われ、ブロードバンド加入者も失っている。
多チャンネルサービス加入者の減少により多チャンネル向けネットワークの広告収入と再送信収入は大きく減っている。Disney、NBCUniversal、Paramount、WBD、Foxの5大放送ネットワーク事業者の内、Fox以外の4社のQ3の放送事業収入は前年同期から減っている。放送収入が増えているのは2019年にスポーツとニュース以外の多チャンネル向けネットワークをDisneyに売ったFoxだけである。
地上波ネットワークの視聴者も減っており、4大ネットワークの平均視聴者数は2016年の半分まで落ちている。これまで、地上波放送局は多チャンネル事業者への再送信料を値上げすることで、収入を増やしてきた。しかし、コードカッティングにより再送信料も減っている。4大地上波放送局所有会社のQ3の売上は10%から20%減り、EBITDAは半減している。
企業は放送事業の切り離し、買収による規模の拡大に生き残りをかけている。しかし、大規模なM&Aの許可を得るのは容易ではない。今、M&A増えているもう1つの理由は、政権をM&Aに寛容的な共和党が握っているからだ。特にトランプ政権は金を払えば、買収許可は得られる前例を作っている。大型の買収には2年近い時間がかかる。今年中に動かないと、トランプ政権の間に買収を完了することが出来ない可能性が高まる。
司法省は完了後のシェアが40%を超える買収を市場独占になると見ることが多い。NetflixのSVODでのシェアは単独でこれを超えている。CablevisionのCox買収は多チャンネルサービス全体では問題ないが、ケーブルTV業界に限れば、40%を超える。NexstarのTegna買収は世帯リーチの上限を39%とする放送局所有規制の範囲を大きくと超えるもので、Nexstarは免除を求めている。この3つの買収は観測気球である。問題なく進むようであれば、数多くのM&Aが動き始めるであろう。
