8つの主要なSVODサービス(Netflix、Amazon、Hulu、Disney+、Max、Paramount+、Peacock、Apple TV+)の内でもっともマイナーなサービスはApple TV+で、加入者も、認知度も低い。Apple TV+の問題の1つはライブラリーの規模が小さいことで、見たいコンテンツを見終わると解約されてしまうことだ。Apple TV+の2020年のチャーン率は10%を超えていた。徐々にライブラリーの規模が大きくなることでチャーンは減って来たが、他のサービスよりも高い方であった。
対策としてAppleは2023年のシーズン(3月~10月)からアメリカのプロ・サッカー・リーグのMLSと配信契約を結んだ。一部の試合はFox等でも放送されるが、Apple TV+が全試合の権利を持ち、MLS Season Passとして月額$15、あるいは年間$99で販売している。リーグとリーグ・カップの全試合、それに育成リーグの多くの試合を視聴することが出来る。Appleは$25億で10年契約を結んでいる。
メッシの入団で、MLSのファンが増え、2023年のMLS試合への入場者数は1100万人になっている。MLS Season Passへの加入者数は発表されていないが、Sports Business Journalは2023年は200万人であったと推定している。MLS Season PassはApple TV+に加入しなくても契約出来るが、Apple TV+に加入していれば料金は月額$13、あるいは年間$79になるので、MSL Season Pass利用者の多くはApple TV+にも加入する。
MLSとの契約はApple TV+の加入者を増やしただけでなく、チャーンの低減にも大きな効果があった。SVODサービスの加入者数の調査を行っているAntennaによると、Apple TV+のチャーン率は2023年春から10月までは6%程度に落ち着いている。シーズンが終了した10月には10%の解約があったが、MLSファンは3月になれば、戻って来る。Apple TV+の再加入率(解約後、12ヶ月以内に再契約する率)は2021年では10%であったのが、2023年末では37%になり、主要SVODサービスでは最高になっている。

Antenna
MLSとの契約はApple TV+の加入者を増やし、チャーンも減らした。しかし、MLSのファンにアピールしても、全体的な認知度の向上には貢献していない。Hub Entertainment Researchの調査では96%の人はApple TV+を知っているが、他のSVODサービスとの違いを自信持って説明出来ると答えた人は51%で、8つの主要サービスで最も低い。

Hub Entertainment Research
