CES: テレビ受像機の動き

テレビ受像機に関してはCESでは3つの大きな動きが見えた。1つは画面サイズが大きくとなっていることだ。NDPが昨年に行った調査によると、TVを購入した人の44%はより大きな画面を求めてアップグレードをした。TCLによると同社の98インチ以上の製品の2023年の販売台数は前年から6倍も増えている。TCLの最大のモデルは115インチの製品で、98インチの製品はQ6、QM7、QM8の3つのモデルから選択することが出来る。Samsungも4モデルに98インチのサイズがあった。高画質の動きは停滞しており、Bigger the betterに進んでいる。

もう1つのトレンドはAIを使った映像の最適化である。例えば、Rokuから発売になったテレビにはSmart Pictureとして、見ているコンテンツによりAIが能動的に映像を見やすくする機能が含まれている。同様な機能を持つTVはSamsung、LG、TCL、Hisenseにもある。SamsungのRelumino機能はAIにより、コントラスト、色、シャープネスを自動的に調節するだけでなく、AIを使い、字幕を読み上げる機能もある。

3つ目の動きはコネクテッドTV(CTV)プラットフォームとCTVのキャスト機能である。CTVのプラットフォームは重要だが、自社開発するのは容易ではない。すでに多くの会社がCTV向けOSを開発しており、競合するのも困難であり、自社製のOSを持たない会社はOSをライセンスする必要がある。TCLのようにRoku、Amazon、Googleとライセンスしている会社もある。PanasonicはこれまでAndroid TVのライセンスであったが、CESではFire TVを搭載した新製品を発表した。


NSI Research(* アメリカでライセンス供給があるか。** TiVo搭載スマートTVはアメリカではまだ)

CTV OSの競合は多いが、Xumo、TiVo、Hisenseのような新規の参入でもある。アメリカではRoku、Fire TV、Tizen等が大きなシェアを持ち、競合は困難である。しかし、スマートTVの普及はまだこれらの国も多く、世界的に見ると可能性はある。Rokuはアメリカでは大きなシェアがあるが、海外参入はカナダ、メキシコ、イギリス等の限られた国でしかない。

また、ブロードバンド事業者向けの製品としての需要も出始めている。コードカッティングが増える中、ケーブルTV事業から撤退し、ブロードバンドに専念し始める事業者が出ている。自社でケーブルTVサービスを提供する代わりにYouTube TV等のvMVPDを販売することでコミッションを得ることが出来るが、自社でもオンデマンドのサービスを提供している場合はvMVPDでは既存サービスをリプレースすることが出来ない。そのため、ケーブルTVのSTBをストリーミング・プレーヤーに置き換え、IPベースでビデオサービスを提供することに対する関心を持つ事業者が増えている。しかし、自社でストリーミング・プレーヤーを開し、配信システムも持つことは困難である。

ComcastとCharterのジョイントベンチャーのXumoのOSを搭載するXumo Stream Boxは両者が採用している以外、ComcastのSTBのX1をライセンスしているCox、カナダのRogers等も採用を検討してる。TiVoもTiVo OSを搭載したプレーヤーとクラウドベースの配信プラットフォームを組み合わせ、ターンキーのIPTVソリューションの提供を発表している。TiVoはそのDVRを中小ケーブルTV事業者に提供しており、コネクションがある。

スマートTVに関わるもう1つの動きとして、スマートフォンからのキャスト機能がある。スマートフォンからChromecast、あるいはAirPlayでコンテンツをストリームする需要は増えている。Hub Entertainment Researchの調査では13~24歳の人のスクリーンタイムの30%はスマートフォンで、28%はCTV(スマートTVをストリーミング・プレーヤー)であり、彼らに取りキャスト機能は重要である。CESではLGがChromecastのサポートを発表したが、それに以上に大きな話題はAmazonの参入である。


Hub Entertainment Research

Amazonはスマートデバイス間の通信規格としてMatterを発表し、Google、Appleを含めた多くのベンダーの支持がある。AmazonはMatterにキャスト機能の追加を発表した。Matterのキャスト機能を搭載した最初のデバイスはEcho Show 15で、スマートフォンからAmazon Prime Videoをキャスト可能にしている。AmazonだけではGoogleとAppleに対抗することは出来ないが、Matterのキャスト機能はPluto TV、Sling TV、Plex等がサポートしている。GoogleとAppleもMatterのキャスト機能を支持すれば、デファクトスタンダードが出来るが、その可能性は少なく、三つ巴になるであろう。