Netflixが1月から6月までの今年の前半期のほぼ全部のコンテンツの視聴時間を「Engagement Report」として公開した。レポートにはNetflixオリジナル、それにライセンスした18000以上のタイトルの再生時間が記載されている。トランスペアレンシーのためだと、発表されているが、データの公開には消極的であったNetflixがなぜ急にデータを公開したのかに関心が集まってる。データには全くの解説が無く、Netflixの意図を推測するのは困難である。
背景には脚本家と俳優のストライキがあったと考えるアナリストが多い。脚本家と俳優は共にストリーミング向けに制作された作品に対してレベニューシェアを求めていた。スタジオ側はSVODサービスの多くはまだ赤字であり、売上の共有は不可能であると、拒否をし、代わりに成功した作品の脚本家と俳優にボーナスを出すことで合意した。レベニューシェアの問題解決は3年後の交渉に持ち越されたが、脚本家と俳優の考えとスタジオ側の見方には大きな差がある。
テレビで放送される番組、あるいは劇場映画と違い、ストリーミング向け作品はどの程度の成功があったのかは公開されていない。Netflixが発表しているトップ10、それにNielsen等が調べるヒット作品リスト等から成功した作品はわかるが、リストにない作品に関しては全く不明である。ソーシャルメディアで話題になったことで、トップ10入をしていない作品もトップ10に近い成功があったようにも見えるが、実際はバズっただけで、シーズンを通しての視聴は少なかった可能性もある。ヒット作品以外のデータも公開することで、実情がわかりやすくなる。
また、今回のデータの発表の背景にはNetflixの広告事業への参加もある。このデータだけでは広告が増えることはないが、広告主がNetflixの広告媒体としての価値を理解することには貢献する。Disney等もストリーミングのデータは公開していないが、広告主は放送からのデータは見ることが出来る。Netflixに対してはヒット作品は大きな視聴があることは分かっていても、他のコンテンツに関しては予想することも出来なかった。「The Walking Dead」ようなライセンスしている数年前のタイトルがまだ多く視聴されていることは発見であり、広告主がNetflixの視聴者を理解することに貢献する。
Netflixがデータを公開した背景が何であろうが、競合に対してデータ公開のプレッシャーを与えることになる。Amazon、Disney等に対してもデータを公開することを求める声が高まるであろう。しかし、競合がNetflixと同じ単位での報告をすることはなく、公開されても比較をすることは出来なく、マルチプラットフォーム対応の新たなカレンシーが必要になる。
