脚本家を代表するWriters Guild of America(WGA)に続き、映画とテレビ俳優を代表する、SAG-AFTRA(Screen Actors Guild – American Federation of Television and Radio Artists 、2つの組合が2020年に合併して出来た組織)もスタジオ代表のAlliance of Motion Picture and Television Producers(AMPTP)が示した次の3年間の労働契約に合意する事が出来なく、7月14日にストライキ入りした。SAG-AFTRAには16万人以上のメンバーがいるが、ストライキに入ったのはドラマ俳優で、ニュースのアナウンサーはストライキをしていない。WGAの脚本家は5月2日からストライキをしている。
SAG-AFTRAもWGAと同様に出演料の値上げ、労働条件の向上、再利用料の増加、それにAIの利用規制等を求めている。出演料に関しては、SAG-AFTRAの要求は初年度が11%のベースアップ、2年目と3年目がそれぞれ4%であるのに対して、AMPTPのオファーは5%-4%-4%で、大きな差がある。出演料は譲歩することが可能であるが、問題は再利用料とAIであり、どちらも交渉が困難であり、ストライキは長引くとの予想されている。
放送とストリーミングでは再利用の考えが大きくと異なる。放送では番組が再放送される時に再利用料が支払われるが、ストリーミングではコンテンツは常にライブラリーにある。ストリーミング向けのコンテンツの場合、主演料に一定期間の再利用料を主演料に含めて支払うのが一般的である。古いコンテンツの視聴は少なく、さらにライブラリーから外されることもあるので、再利用料の支払いは殆ど無い。ストリーミング向けコンテンツの多くは低コスト・プロダクション扱いになるので、出演料は安く、さらに大ヒットしても再利用料は貰えないことになる。
SAG-AFTRAは再利用料と出演料を別にし、俳優への支払いの透過性を求めるとともに、成功した作品の出演者に対してレベニューシェアをすることを求めているが、AMPTPはどちらも拒否している。例え、AMPTPがレベニューシェアにコンセプトに合意しても、いかにそれを計算するかで大きな問題が起きる。Netflixはヒット作品の再生回数は公開しているが、多くのストリーミング向けコンテンツの視聴回数は公開されていない。スタジオがレベニューシェアのためでも視聴者数を公開することは拒むであろう。Nielsen等の第三者の数字もあるが、Netflix等はこれら調査は実数とは大きく異なると批判しており、採用には賛成しない。
コンテンツの再利用の計算の透過性を高めるには視聴者データだけでなく、それぞれのコンテンツがどの程度、収入に貢献しているかのデータも公開する必要がある。だが、Netflix以外のストリーミングサービスは赤字である、詳細な数字を発表した場合、Disney等のコンテンツ事業者の株価は暴落することは確実である。AMPTPもこれまでの再利用料はストリーミングでは問題があることはわかっているが、解決方法が見えていない。
AI、それにデジタル・レプリカに関しては、SAG-AFTRAは俳優の仕事を守るために包括的な規定を作り、俳優の承諾を得ると共に正当な支払いをすることを求めている。AMPTPはエキストラのデジタル・レプリカに対しては半日分の賃金を支払い、その後は、承諾、それに支払い無しで、スタジオはデジタル・レプリカを使い続ける出来、さらに主演俳優の言葉等のAIにより変更、あるいは再利用には承諾の必要は無いとしている。また、俳優の動画、音声等を承諾なしで生成AIのデータに使うことが出来るとの回答で、俳優側とのギャップは大きい。
