衛星での地上波再送信規制

同じ多チャンネルサービスでもケーブルTVと衛星放送では地上波再送信の規制が異なる。ケーブルTVでは再送信は義務である。ケーブルTV事業者はサービス地域のすべてのフル出力局の再送信をする必要性があるので、「Must Carry」と呼ばれている。衛星放送では1700以上ある地上波局の再送信は困難であったのでMust Carryはない。しかし、ある地域で再送信を始めた場合、いくつかの局を再送信するのではなく、その地域の全局を再送信する義務があり、これは「Carry One, Call All」とも呼ばれる。

もう1つ、ケーブルTVと衛星放送の規制では大きな違いがある。ケーブルTVへの規制は無期限であるが、衛星放送の規制は5年毎に更新が必要になる。現在の衛星放送への規制のSTELAR法は今年の末に失効する。現在、DirecTV、Dish Network共に全地域で再送信をしており、「Carry One, Call All」規制は実施されており、その問題はない。しかしSTELAR法には1つ重要な項目がある。それは地域外の放送局の再送信の取扱である。4大ネットワークがすべて放送されていない地域もある。それら地域では、地元で放送されていないネットワークは地域外の局からの再送信が出来、その場合の再送信料は著作権法が決めた基本価格になる。

4大ネットワークの再送信契約はすべて個別契約であり、著作権法での基本レートは使われない。基本レートでの再送信を拒否した場合、その局は「Must Carry」、あるいは「Call One, Call All」の対象外となり、再送信義務は無くなる。しかし、4大ネットワークの再送信無しでは加入者が離れるので、多チャンネル事業者は個別契約をしざるを得ない。地域外の再送信は安い、基本レートになる。

放送局を代表するNABはSTELARの破棄を求めている。地域外の局の再送信契約も基本レートでは無く、個別契約を可能にしたい。衛星放送事業者側は現在の規制をそのままにし、ケーブルTVと同じに永続的にする事を求めている。ケーブルTV事業者はこれまでは、衛星放送事業者への特有の規制は不要であるとの意見であったが、今回はSTELAR法の更新を支持している。それは、地域外局の再配信に関する規則はケーブルTV事業者にもあり、衛星事業者への例外が破棄された場合、自分たちの規則にも影響を与える可能性がある。また、ケーブルTV事業者は高騰する地上波の再送信料に対する新たな規制を求めており、その為にはDirecTV、Dish Networkの協力が必要となり、仲良くしておく必要もある。

OTTで行われているSling TV、DirecTV Now、Hulu with Live TV、YouTube TV等の多チャンネルサービスには地上波再送信に関する規制は無い。すべてが個別契約であり、契約した局だけが配信されている。また、その契約の殆どは4大ネットワークが対象であり、CW、PBS等のメージャー以外のネットワーク、あるい独立局の再送信はほぼ行われていない。