地上波局会社のSinclairがDisneyから21の地域スポーツネットワーク(Regional Sports Network: RSN)を$96億で買収した。DisneyはFox買収でRSNを得たが、すでにESPNを持っていることから買収の条件として手放す事になっていた。Sinclairが買収するDisneyのRSNにはニューヨークのYES(Yankee Entertainment and Sports)Networkは含まれていない。YESはその20%を持つNew York Yankeesを中心としたコンソーシアムが買収する予定である。
Sinclairの買収する21のRSNは42のプロチームとの配信契約があり、YESを含すくめて、昨年では$38億の収入があった。RSNはSinclairの子会社、Diamond Sports Groupの一部となり、Entertainment StudioのCEO、Byron Allenがパートナーとして参加する。Entertainment Studioは昨年にWeather Channelを買っている。
RSNは地域限定のスポーツ専門チャンネルであり、地元チームの試合を放送している。放送権利があるのは地上波ネットワーク、あるいはESPN等の全米規模のスポーツネットワークが権利を持っていない試合であり、多チャンネルサービスで放送されている。
191のテレビ局を持つ最大の放送局会社のSinclairはすでにスポーツネットワークをいつくか持っている。2016年にTennis Channelを買収し、2017年にはBAM Tech、PGA Tour、Meredith Corporation等との協力で大学の試合を放送するStadiumを設立している他に、プロレスのRing of Honor Wrestingチャンネルを持ち、2020年からChicago CubsとのRSNを開始する。 だが、地上波局がなぜに多チャンネルサービス向けのネットワークを手中に収めているのであろうか
1つは再送信契約のためである。Sinclairは多チャンネルサービス事業者と地上波局の再送信契約を結んでいる。地上波局だけでなく、地元チームの試合を放送するRSNは多チャンネルサービス事業者が欲しがるチャンネルであり、より良い条件での契約が可能になる。中小規模のケーブルTV事業者を代表するACAはこの買収は再送信料の値上げにつながるとして反対をしている。
もう1つはATSC 3.0移行のためである。ATSC 3.0の問題の1つとしてコンテンツがある。放送局会社がATSC 3.0での放送を始めても、放送するコンテンツがなけれな、無意味である。Fox以外のコンテンツ事業者はOTTで視聴者にOTTで直接配信する方向を向いており、ATSC 3.0には熱心ではない。4K、あるいはインターネットとの連携等、ATSC 3.0だから出来るコンテンツがなければ成功はしない。SinclairはATSC 3.0では最も積極的な会社であり、ネットワークに頼らずとも成功させようとしている。
ATSC 3.0の特徴であるモバイル視聴、高解像度、インターネットとの連携を考えるとスポーツが需要なコンテンツになることは明らかである。ローカルであるRSNを持つことは大きな価値がある。また、放送局に取ってのATSC 3.0の魅力は多チャンネル化である。現在のATSC 1.0での副チャンネルを使い、1つのチャンネル帯域で複数のチャンネルを提供することは出来きるが、ATSC 3.0ではそれが無限になる。主要な2、3のチャンネルは放送し、後はインターネットで配信する事が出来る。
SinclairはSTIRRと言うOTTで複数のリニアチャンネルを配信するサービスを始めているが、これはATSC 3.0で考えているサービスのOTT版と思われる。SinclairはRSNの試合はSTIRRでも配信することを検討していると語っている。
