7月12日はネットワーク中立性規制を無くそうとしている共和党下のFCCに対して反対のメッセージを送る「Day of Action」であったが、これまでの様に大きな話題にはならなかった。1つの理由は、Netflix、Google等の影響力が強い会社の参加表明が遅かった事であった。この結果、まとまりに欠け、過去のBlackout Day(2012年の著作権規制改正のSOPA(Stop Online Piracy Act)とPIPA(Protect IP Act)への抗議)とInternet Slowdown Day(2014年のネットワーク中立性支持)の時の様な共通したテーマでの抗議は無く、それぞれがブログ、あるいはウェブサイトでネットワーク中立性規制の継続を求めただけであった。
また、通信事業者もインターネット中立性を支持するメッセージを出した事で、議論する相手がいなくなってしまった事もDay of Actionが盛り上がらなかった理由の1つである。AT&Tは既存のインターネット中立性規制を法廷で訴えている会社であるが、Day of Actionに参加した。正式に参加はしなかったが、ComcastとVerizonもインターネット中立性を支持する表明を当日に出している。
真っ向かからインターネット中立性に反対したのでは敵を作るだけの事である。また、通信事業者と言ってもAT&T、Verizon、Comcastはインターネットを使ったサービスの提供者でもある。AT&Tとしても、自社のDirecTV Nowを優遇したいが、アメリカ最大のブロードバンド事業者のComcastがDirecTV Nowを妨害する事の許可は出来ない。公平なアクセスを保証する規制は通信事業者にも必要である。
何らかのネットワーク中立性規制は必要であるが、それをいかに適用するかが争いの中心である。最初のインターネット中立性規制は、FCCにはインターネット通信事業者(ISP)を規制する権限が無いと法廷が判断した事で差し戻された。FCCにその権限を与えるには通信法の改正が必要であり、時間がかかる。また、FCCの権限の範囲で新たな規制を作るのでは骨抜きの規制になってしまう。ウィーラー前委員長はISPを通信法のタイトルIIにあるコモンキャリアとして再定義する事で、インターネット中立性規制を可能にした。
トランプ政権はISPへのタイトルIIの適用を撤回しようとしている。撤回すれば、FCCにはインターネットを規制する権限は無くなり、中立性規制は自然消滅する。立法化されてから30年以上経っている通信法でISPを縛る事は技術革新の妨害になるして、通信事業者だけでなく、インターネット企業の中にも反対派がいる。しかし、タイトルIIの適用を撤回すると、中立性規制が無くなる。インターネット中立性支持派にも、タイトルII適用の賛成派と反対派があり、1つにまとまる事は難しい。
