2017年はモバイル通信におけるビデオの重要性がクローズアップされる年になるであろう。2016年Q3にT-Mobileはポストペイドのスマートフォン加入者を106万人加え、他の事業者を大きく上回った成長を見せた。このT-Mobileの成長にはそのBinge Onのサービスが多く貢献している。Binge Onでは480pで視聴するOTTビデオはパケット料金に加算されない。Binge OnにはNetflixを含め、競合のAT&TのDirecTV Now、VerizonのGo90等、100以上のOTTサービスが含まれている。

各社発表
AT&TはそのOTT多チャンネルサービスのDirecTV Nowのデータ料金をゼロレーティング(無料)したが、T-Mobileはこれに対抗し、同社の家族アカウント(最低2回線)に新規加入する世帯に対しては、1年間無料でDirecTV Nowを提供する。DirecTV Nowのデータ料金もBinge Onでカバーされるので、全く無料でDirecTV Nowを見る事が出来る。
AT&TはTime Warnerの買収が認められれば、HBO、Turner、Film Struck等のTime WarnerのOTTサービスもパケット料金は無料にする発表している。Verizonも同社のOTTビデオサービスのGo90をゼロレーティングで提供している。しかし、FCCは自社のビデオサービスに限って、パケット料を無料にする事はネットワーク中立性規制に触れ、違法であるとの見解を1月に発表した。もっとも、この報告書はトランプ大統領就任の前に書かれた物であり、新たにFCC委員長に任命されたAjit Pai氏はネットワーク中立性規制には反対であり、報告書は撤回された。これにより、AT&T、Verizon共に自社、あるいは提携したOTTビデオサービスのパケット料金の無料化はさらに加速する事になる。
AT&TのDirecTV Nowは12月だけで20万の有料加入者を得ており、順調なスタートをしているが、VerizonのGo90はうまく行っていない。最近、Go90部門から155人がレイオフされた。Verizonはこれは、元Hulu CEOのJason Kilarの設立したVesselを買収した為の組織統合が理由であり、Go90への投資を減らしたためではないと言っている。しかし、Vesselのもう一人の創立者で、元HuluのCTOであったRichard Tomが新たしいGo90のヘッドに就任しており、Go90は大きくと変わる可能性がある。Go90は成功していないが、VerizonにはNFLのモバイル配信での独占権と言う大きなコンテンツ権利を持っている。
NFLの試合の試合により、Disney(ABC/ESPN)、NBC、Fox、CBS、AT&T(DirecTV NFL Sunday Ticket)が配信権を持っているが、モバイルネットワークとしてはVerizonしか使う事が出来ない。これはAT&TのDirecTV Nowに問題を与えている。DirecTV Nowのセールスポイントは、モバイル環境でESPN等で放送されている試合をどこでも見る事が出来る事である。しかし、NFLの試合に限ってはVerizonがモバイル配信権を持っているので、Verizon以外のスマートフォンからモバイル回線でNFLの試合を見ようとすると、ブラックアウトされてしまう。
モバイルビデオの争いは、AT&T、Verizon、T-Mobileの3社で、Sprintは参戦していない。しかし、モバイルビデオを無視しし続けることは出来ないであろう。同社は1月にストリーミング音楽のTidalの33%を購入しており、ビデオ分野でも動き始めると思われる。これに加え、2017年中にはComcastもVerizonとのMVNO契約で、モバイル通信に参入する。Comcastは当然、ビデオを中心にする戦略で市場参入をするであろう。
