CTA(Consumer Technology Association)の発表では2016年のCES(正式には今年からInternational CESに名前が変わっている)への参加者数は17万人以上で、出展会社は3,800社以上であった。1967年の第1回CESの参加者数は17,500人、出展者は100社であったので、参加者数は10倍、出展者数は38倍に増えた事になる。ラスベガス市の人口は62万人なので、CESの期間中は人口が27%増えている。それは当然大きな問題を起こす。昨年のCES参加者は176,676人で、交通を含めて様々な問題があった。CTAは今年の参加者数は同じ規模に限定すると約束をし、その通りに参加者数は増えていない。しかし、昨年の出展者数は3,631社であったので、今年は200社増えた事になるので、ラスベガスに来た人は増えている。新たな出展者殆どはSands会場のベンチャー向けのEureka Parkで、数十社規模から数百社規模に増えた。
今年のCESはトレンドが読みづらいイベンドであった。出展者数が大きくと増え、会場面積も増え、どこにフォーカスするべきかが分かりづらくなった。さらにトレンド作りをするはずの大手ベンダーがリスクヘッジした事で、さらに2016年の家電のメッセージが混乱した。大手ベンダーは大きなトレンドにフォーカスしてそれが外れるリスクを避けた為、何をアピールしたたいのかが伝わりにくくなっていた。
その混乱はテレビ分野で最も明らかである。2016年は4Kの年であるはずであった。Netflix等がOTTで配信する4Kのコンテンツは大きく増え、UHD Blu-rayの販売が開始になり、そしてDirecTVの4K放送もスタートする。しかし、多くの中国製の安い4Kテレビが登場し、それらと一緒にされる事を避けたいためにLG、Sony、Samsung、Panasonic等の大手は自社の製品は既存の4Kよりクオリティーが高い事をメッセージとした。
その1つがUHD Premiumロゴである。これは、HDRを含めこれまでのUHD規格より高度な水準を満たした製品である事を示す物である。4Kでのコンテンツの配信が本格的に始まる前に、UHD Premiumをアピールした事で、UDHはすでに陳腐化したとのメッセージを送った。さらに8Kへのプッシュも強く、4Kは忘れて8Kを待つべきだとの印象を与えている。消費者組織のConsumer Reportsはベンダーが今年のCESでは8Kテレビの製品化をアピールした事は失敗であったとそのブログに書いている。同組織は4K市場がいよいよスタートと言う時に、8Kをアピールした事で消費者を混乱させたと書いている。
スマートTVのメッセージも混乱していた。昨年は大手各社が新しいOSを採用し、より「スマート」なスマートTVを謳っていたが、今年はその様なアグレッシブさは無かった。各社、自社技術のスマートTVがあり、さらにRoku、Google TVを搭載したモデルもあり、何をアピールしているのかが不明瞭であった。Roku内蔵のTVが成功しているのは明らかだ。Rokuは同社のプラットフォームを採用したテレビが昨年1年で100万台売れたと発表ている。CESではTLCが最初のRoku搭載の4Kテレビを発表した。Rokuを採用しているメーカーは増えており、LGもRoku TVを展示していた。また、Android TVを採用した会社も増え、Sony、Sharp、Philipsに加えRCA、TCL、Hisense、Vestel、Bang & Olufsen等が加わった。TCL、Hisense等はRoku搭載モデルとAndroid TVの両方を売ることになる。
ベンダーはすべてのTVのにOTT機能を加えており、スマートTVは売れている。しかし、その利用度は高くない。NPD Groupの統計ではアメリカで売れたスマートTVの3分の1はインターネットに接続されて無く、Roku、Apple TV、Fire TV、Chromecast等を使う人が増えている。ベンダーのスマートTVは毎年、新しい物になる。スマートTVのソフトウェア・アップデートは殆ど無いので、新しい機能が欲しければ、毎年テレビを買い換える必要がある。$100のRokuは機能が古くなれば、躊躇なく無く買いが換えるが、何千ドルのテレビを買い換えさせる事には無理がある。開発費が高い自社プラットフォームの「スマートTV」では無く、追加のSTBのとしてRoku等を買う方が現実的である。
ビデオ系では4K以上に大きな話題はバーチャルリアリティ(VR)である。VRがこれまでの動きと違うことは、ハードウェアではなく、コンテンツ(ハリウッド)業界が牽引している事だ。VRシステムとしてOculus Rift、HTC Vive、PlayStation VR等の展示があった。しかし、最もVRに対して熱心なのはコンテンツ側で、殆どのハリウッド大手はVRへの投資をしている。CESのパネル・セッションではCTAとNAPTE(National Association of Television Program Executives)が共同でハリウッド・エグゼクティブに対して行った調査の結果が発表したされ、その大きなポイントはコンテンツ事業者はVRがゲームチェンジャーになると信じ、投資していることである。
アナログからデジタルへの移行、HD、そして4Kへの動きでハードウェアは大きな変化をした。しかし、ストーリーの作り方としてコンテンツ側には大きな変化は無かった。何十年前の映画でも現在に通用する。しかし、VRでは根本から異なったアプローチでコンテンツを作る必要がある。これまでのストーリー作りの考えではVRコンテンツは作れない。ハードウェア会社がUHD、UHD Premium、8Kとスペックの差で争っている間、ハリウッドは自分たちのリーダーシップでVR市場を進めようとしている。
Goldman Sachs、DeloitteもVRの重要性を伝えるレポートを発表している。DeloitteはそのTMT(Technology Media Telecommunications)Predictions 2016(http://goo.gl/izWLR1)でVR市場は2016年に$10億を超えると予想している。Goldman SachsはVRとARは2025年には最低で$800億、最大では$1820億になりテレビ市場を追い抜くとのレポートを発表している。
![ImageCapture[02-05-2016-3]](https://www.nsirinc.com/compass/wp-content/uploads/2016/02/ImageCapture02-05-2016-3.jpg)
Goldman Sachs
CESにおける市場の進歩としてはスマートホームが一番であった。これまでは製品はあるのだが、インパクトが弱かったのが、今年はビジネスソリューションとして明瞭になり始めていた。全米に1600以上の大店舗を持ち、材木から家電まで幅広いホームリフォーム向け製品を扱うLowe’sはIrisと呼ばれるスマートホームの製品と管理プラットフォームの提供を始め、CESでは2階建ての家を設置し、部屋毎にソリューションを説明していた。大きな店舗数を持ち、全体的なソリューションがあり、Lowe’sの参入は大きい。
不動産会社のColdwell Bankerは最近、4000人を対象にスマートホームの利用を関心度を調べる調査結果を行った。(https://goo.gl/cDn8fK)。この調査によると、半数に近い45%はすでにスマートホーム製品を使っているか(25%)、2016年中に購入の予定である(20%)。スマートホーム製品とは何かの質問に対しては、セキュリティー(防犯アラーム、錠前等)、それに空調管理(サーモスタット等)が同点で63%、照明システムが58%、安全(火災/一酸化炭素検知等)が56%と答えた。また、76%は、その内の1つだけではスマートホームとは言えず、60%は上記の3つ以上の分野がスマート化されていないとスマートホームにはならないと答えている。
スマートホームのユニークな点は、これまでのテクノロジー製品とは違い若者がメインの市場ではない事だ。Coldwell Bankerの調査でスマートホーム製品を持っていると答えた人(25%)の内訳は18歳~34歳が43%、35歳~54歳が33%、そして55歳以上が24%となっている。若い世代の方が利用率が高いが、圧倒的ではない。さらに、高年齢層の方が保有率が高い製品もある。スマートホーム製品を使っている18歳~34歳の層でスマートな空調管理製品を持ってるのは25%でしかないのに対して、65歳以上では40%となっている。Coldwell Bankerの調査で2016年にスマートホーム製品を購入する予定があると答えた人の36%は自分はテクノロジー製品のアーリー・アダプターでは無いと答えており、市場はアーリー・マジョリティのステージに入り始めている様である。
![ImageCapture[02-05-2016-4]](https://www.nsirinc.com/compass/wp-content/uploads/2016/02/ImageCapture02-05-2016-4-650x271.jpg)
Coldwell Banker
