CESの話題の中心はいつもはSony、Panasonic、Samsung等の大手CEメーカーが展示しているラスベガス・コンベンション・センター(LVCC)のセントラル館である。しかし、今年は違った。今年の話題の多くは、自動車関係のノース館、ネットワーク、ドローン等の展示があったサウス館、それにウェアラブル、スマートホーム等の提案があったサンズ・コンベンション・センターからの発信であった。
特にノース館の自動車メーカーはCESの重要な展示者になっている。数年年前は1、2社であったのが、今年はBenz、Chevrolet、Chrysler、Audi、Ford、Toyota、VW、Ford、Hyundaiと多くの参加があった。家電ベンダーから大きな話題が無かったが、自動車が今年のCESを盛り上げていた。
話題の展示は分散していたが、共通はIoT(Internet of Things)であった。インターネットはこれまで人のコミュニケーションに使われてきた。IoTは物同士のコミュニケーションであり、その結果は必ずしも人間が見る為の物ではない。自動車がその例である。必ずしもインターネットでの通信ではないが、自動車には様々なセンサーとメカが組み込まれ、お互いにコミュニケーションをしている。その情報の一部はディスプレイに表示されるが、殆どのデータは人間の目に触れることは無く、自動車自体が自動的にドライブを安全、快適にしている。今後、自動車同士、そして、道路に設置されたセンサー等がIoTとしてコミュニケートする事で、その信頼性はより高まる。
IoTは、4KのTVの様に一目で見て、その意味が分からない事が問題である。自動車分野ではIoTが示す方向を理解する事が出来る。しかし、スマートホーム、ウェアラブル等は今後はどの様に発展して行くのはCESの展示からでは分からりづらい。サンズ、あるいはLVCCのサウス館に展示されいた殆どの技術はまだソリューションの領域ではなく、ソリューションを構成する為のコンポーネントの候補でしか無い。センサーが内蔵された植木鉢から赤ちゃんのおしゃぶりと、様々な「スマート」製品が展示されていた。ユニークな製品が多い、楽しいがこれらががどの様に相互接続し、発展して行くかは理解しづらい。「スマート」には頭が良いとの意味と同時に洗練されたとの意味もある。例えば、おしゃぶりに温度センサーを内蔵し、スマートフォンとBluetoothで通信するBlue MaestroのPacif-iはこれまでのおしゃぶりより頭は良いかもしれないが、それだではまだ洗練されたソリューションにはなっていない。
テレビ分野での話題は、より高度なOS の搭載であった。Samsungは同社のスマートフォン、Samsung Z、それにGalaxy Gear Watchで搭載されているTizenをスマートTVにも採用し、SonyはAndroid TV、PanasonicはFirefox OSを採用した。LGは昨年からWeb OS(元Palm)を採用しており、4大TVメーカーはすべてスマートTVにモバイル向けOSを搭載する事となった。メリットはこれまでの組み込みOSより、アプリ開発が容易になる事である。4Kでの配信は放送ではなく、Netflix等のOTTサービスから始まっており、OTTへの素早い対応が今後のTVには不可欠になる。インターネットで配信されている4Kコンテンツへの対応の為にSony、LGは等はGoogleが開発し、YouTubeでの4K配信に使われているVP9コーデックのサポートも加えた。
テレビ販売におけるOTTビデオの重要度は、テレビメーカーが今年から「Netflix Recommended TV」認証マークを付けるようになる事で明らかである。Netflixは基準を満たしたスマートTVを「Netflix Recommended TV」と認証し、メーカーはそのマークを付ける事が出来る。基準の詳細は発表されていないが、アプリの開始速度、一時停止後に再生までの速度等で、この春に発表の予定である。
しかし、OTTサービスをサポートするだけであれば、Rokuのプラットフォームをライセンスする事で十分だ。Rokuは2000のチャンネル(アプリ)を持ち、チャンネル数では最大のプラットフォームである。TCL、Hisense、Haier、それにInsignia(Best Buyのブランド)がRokuと契約し、Roku内蔵のTVを出荷している。大手家電メーカーがモバイルOSを採用した理由は、テレビをスマートな家と生活のハブにする事を考えているからだ。
スマートホームに対する期待は大きい。ケーブルTV、通信事業者はホームセキュリティのサービスに力を入れている。Googleは昨年に$32億でNest Labsを買収し、Appleは最近HomeKitの規格を発表している。これまでの、スマートホーム(スマートライフ)におけるテレビの役割提案の殆どは、データの表示である。しかし、「スマート」と過剰なデータは違う。サンノゼ市では、PG&Eがスマートメーターを設置したので、ウェブから家庭内の電力使用状況を見る事が出来る。しかし、それにエンターテイメント性は無い。データ見ただけでは、省エネの役には立たない。自動車のスマート化は人間の負担を増やす事無く、安全性、快適性等を高めてる。スマートホームも同様であり、テレビがどの様な役割を果たすのかの答えは来年のCESに期待する。
