FCCはブロードバンドを定義する速度を下流4 Mbps、上流3Mbpsから下流25 Mbps、上流3 Mbpsに改めた。4Kビデオの配信には25 Mbpsが必要だが、いなかの地域に住む53%の人々はまだ25 Mbpsのサービスを受ける事が出来ない状態である。ブロードバンドを25 Mbps以上とする事で、目標が高くなり、ブロードバンド普及の促進になるとの意見もある。しかし、FCC委員会での投票は3対2で、共和党系の委員は定義変更に反対した。共和党のO’Rielly委員は4Kのビデオ配信には25 Mbpsが必要であっても、4Kテレビはまだ一般的にはなっていなく、それをブロードバンドの基本的な定義にする事は間違っていると語っている。
Verizon、AT&T、Comcast等のブロードバンド事業者もこの定義変更には反対をした。ブロードバンド事業者はそのウェブサイトではスマートフォンでも15 Mbpsから40 Mbpsのブロードバンドが必要であると宣伝をしている。FCCがブロードバンドの定義を25 Mbpsにした事を宣伝に使えば、より高速(高価)なパッケージに変更する消費者も多いはずで、大きな問題は無いように見える。
大手ケーブルTV事業者は殆どのサービス地域で25 Mbpsはすでに提供しているので、25 Mbpsが提供出来ない競合を蹴落とす機会になるはずだが、そこに問題がある。4 Mbpsを定義とした場合、アメリカの75%の世帯は2つ以上の事業者からブロードバンドサービスを受ける事が出来る。しかし、ブロードバンドが25 Mbpsであると、55.3%の世帯は1事業者の選択肢しかない。19.4%の世帯は25 Mbpsのブロードバンドを受ける事が出来ないので、可能な世帯に限定すると68.6%の世帯は1事業者に限られる事になる。
70%に近い世帯には事業者の選択が無いと言う事は、ブロードバンド市場は独占市場であるとみなされる可能性がある。以前の電話事業は独占市場であり、事業者には厳しい規制があった。市場の自由化で規制は緩和されたが、今も規制市場である。FCCはインターネットの中立性の為に、ブロードバンドも通信法で規制をしようとしている。75%の世帯が複数の事業者から選択する環境がある場合、ブロードバンド市場を独占市場であった電話事業者と同じ規制下に置くべきとの理論は通りにくい。しかし、70%の世帯には1つの企業の選択肢しか無いのであれば、ブロードバンドは独占市場であり、その様に規制することに対する支持は増える。
この定義変更はComcastのTime Warner Cable買収にも大きな影響を与える事になる。ComcastのTWC買収はケーブルTVサービス以上に、ブロードバンドでの地位を高める事が大きな目的である。ComcastはTWC買収の許可が得られた場合、幾つかのシステムを売り、ケーブルTV市場におけるシェアは30%以下にする事を約束している。しかし、ブロードバンド市場でのシェアは30%を超えるが、4Mbpsの定義では、35%程度である。しかし、25 Mbpsがブロードバンドの程度となった場合、Comcast+TWCのシェアは約55%となる。これは市場独占として拒否される可能性の高い数字である。この定義変更で、ComcastのTWC買収は拒否される可能性がさらに増えた。

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