2015年NAB

2015年NAB Showの来場者は103,000人で、2014年の98,000人を上回った。しかし、海外からの来場者は26,500人で、2014年の26,370人から殆ど増えなかった。展示者は1,789社に増え、展示面積は昨年の947,000平方フィートから、1,015,000平方フィートに増え、始めて100万平方フィートを越した。

今年も4Kが大きな話題であった。調査会社のHISによると、3月のLCDテレビの出荷台数の内、11%は4Kであった。Netflix、Amazonは4Kでの配信を始めている。DirecTV、Comcastも4Kを始めているが、ブロードバンド上でのVODであり、4Kでの放送はまだである。しかし、NABではSES、Sony、Harmonic等の会社が協力で4Kでのライブ放送をデモした。DirecTVも2機目の4K対応の衛星を近々打ち上げの予定である。

4Kの解像度以上に、HDR(High Dynamic Range)に対する関心が今年は顕著であった。DolbyではVizioから出荷されたHDR対応のテレビを使ったHDRのデモが行われていた。解像度より違いが分かりやすいことから、HDRがセールスポイントになるとの意見が多く聞かれたが、これまでに出荷された殆どの4KはHDR対応では無いことから消費者に混乱が起きる事に対する心配もある。

もう1つの大きな話題はワークフローのIP/クラウド化であった。様々なソリューションが発表されたが、DisneyのABCがそのワークフローのほとんどをこの秋までにIP化し、クラウドベースにする発表がNAB最大のニュースであった。ABCのChief Technology OfficerのVince Roberts氏はワークフローのクラウド化を進める理由として、放送事業者もOTT事業者の様に柔軟になる必要があり、「我々もこれまでのアプローチから離れ、消費者をリードし、その進む方向における機会を利用する必要がある。」と語っている。

ABCはImagine Communications、のVersioCloud、ソフトウェア・ディファインド・ワークフロー管理のZenium等を採用し、今年の秋には衛星への配信までの殆どのワークフローをIP化させる。Imagine Communicationsは元Harrisの放送事業部(Harris Broadcast)の一部であった。Harris Broadcastは米国では歴史のある、大手放送機器ベンダーであったが、親会社のHarris Corporationは2014年にこれを不要な事業部としプライベート・エクイティ会社のGores Groupに売った。

Harris Broadcastは送信系のGatesAirとワークフロー系のImagine Commutationsに分離された。Imagine Communicationsはその後、急速にIPワークフローでのキーベンダーになり、最近ではDigital Rapids、RGB Networksを買収している。

ABCのクラウド化にはVerizonのDigital Media Service部門(VDMS)も協力している。ABCは自社で開発した広告挿入のソフトウェアをVDMSに売り、VDMSがこれをクラウド上で提供する。