脚本家がストライキに突入

テレビと映画の脚本家を代表する労働組合のWriters Guild of America(WGA)とスタジオ側を代表するAlliance of Motion Picture and Television Producers(AMPTE)との間の3年間の労働契約更新の話し合いは期限の5月1日になってもまとまること無く、2日の0時から脚本家はストライキに入った。WGAのストライキは1960年以来、これが7回目で、最も長く続いたのは1988年のストライキはで153日であった。スタジオは監督代表のDGA、俳優代表のSAG-AFTRA等とも契約をしているが、WGAとの交渉が早く、AMPTEはWGAとの交渉には強い姿勢でのぞむので、WGAのストライキが多くなる。

ストライキ中はすでに脚本が完了している以外のドラマ、コメディー等は制作出来なくなる。秋のTVシーズン開始までには時間があり、短期的な影響は少ない。しかし、深夜のコメディアンのトークショー等、制作が中止になっている番組もある。また、脚本が出来ていても、脚本家不在では制作に支障もあり、すでに一部のドラマ制作にも遅れが出ている。

ストライキが長く続くと秋のシーズン開始への影響がでる。1988年のストライキが終了したのは8月7日であり、通常であれば9月末に始まるテレビシーズンの開始が12月頃まで遅れた。脚本の無いリアリティ、クイズ等の番組制作は可能であり、また、スタジオはWGAに属さない他国の脚本家を雇うことが出来る。しかし、カナダ、イギリス、オーストラリアの脚本家団体はWGAのストライキを支持し、メンバーにWGAのストライキ中はアメリカのスタジオからの仕事を受けないようにとの指示を出している。

また、スタジオがピケットラインを超える脚本家を雇ったとしても、監督家、俳優等が労働を拒否するであろう。監督家団体のDGAは5月10日から、俳優団体のSAG-AFTRAは6月30日からAMPTEとの労働条件交渉を開始し、WGAのストライキを支持している。1988年のストライキでは俳優の一部もWGAのサポートのために、ストライキに入った。

今回の交渉では下記を含めた内容がまだ合意に至っていない。項目が多く残されており、条件にもかなりの開きがあることから、このストライキは長くなる可能性がある。WGAによると組合の要求総額は4.29億ドルの規模だが、AMTPEの案は8600万ドルにしか至っていないと発表している。WGAはAMPTEは脚本家を必要な時だけの使う、キグ・エコノミー化しようと批判している。

  • 最低スタッフ数: WGAはエピソードの数に応じて、脚本に携わる最低のスタッフの数を保証することを求めているが、AMPTEテレビとストリーミングではプロセスが異なり、スタッフ数の保証は出来ないと答えている
  • 最低雇用期間: WGA1エピソードあたり最低で3週間の雇用を保証することを求めているが、AMPTEはこれを拒否している
  • 再利用報酬: WGA次の3年間の契約期間で平均5%のアップ、プラス、ストリーミングの場合は、視聴者数に応じた支払いを求めているが、AMPTEの提案は3%に留まっている
  • AIの利用: WGAはAIを使った脚本の規制を求めているのに対し、AMPTEは勉強会の開催の提案だけである
  • ペンションと保険

再利用の報酬は大きな争点の1つである。これまでは映画、TV番組の再利用はテレビでの再放送が主であったのが、ストリーミングに変わることで、報酬が減っている。5月10日にAMPTEとの交渉を開始するDGAもストリーミングでの再利用報酬の増加を求めている。DGAはストリーミング事業者の成長は海外進出から来ており、海外での配信時の報酬を増やすことが大きなポイントになると語っている。