OTTビデオに参入する会社が急速に増えている。IT事業者、コンテンツ事業者だけでなく、Amazonに競合する量販店までもOTTビデオサービスの参入を検討している。コンテンツがあれば、サービスを提供するプラットフォームはあり、難しいことではない。問題はどの様なビジネスモデルで参入するかである。
これまで成功してきたのはSVODである。しかし、SVODではすでにNetflix、Amazon、Huluの存在があり、参入は容易ではない。すでに成功しているSVOD事業者と戦うにはスタートの時点から豊富なコンテンツが必要になる。2019年秋にSVODを開始予定のDisneyには豊富なコンテンツがあり、さらにFoxの資産の買収で、コンテンツは大きくと増える。それだけでなく、Huluの60%も持ち、Disneyのブランド力もあり、戦力はある。
AT&TのWarner Mediaも2019年4Qに新たなSVODを開始する事を発表した。すでにHBOのコンテンツをベースにした、HBO Nowを提供しているが、新しいSVODはWarner Mediaの全コンテンツが対象になる。コンテンツとしては、HBO、他のWarnerMediaのテレビネットワークの番組、それにWarner Brothersの映画等になる。HBO Nowの加入者は500万人を超えており、SVODではHuluに続くナンバー4である。AT&Tは1.5億人のモバイルサービス加入者、2500万の多チャンネルサービス世帯も持っており、Netflix、Amazon、Hulu/Disneyと戦うことが出来るであろう。
量販店のWalmartもSVOD参入を検討してきた。理由はAmazonとの競争だが、コンテンツ力では大きく劣っている。WalmartはTVODサービスのVuduを持っているが、TVODとSVODでは契約は異なり、VuduのコンテンツのすべてがSVODで配信出来る訳ではない。また、広くライセンスされているコンテンツだけでは差別化は出来ない。WalmartはMGMと契約し、MGMのヒット作をベースにしたオリジナルコンテンツを制作する契約をした。すでに、「Mr. Mom」をベースにしたシリーズが決まっている。Walmartはインタラクティブなビデオコンテンツの制作会社のEkoともコンテンツ制作の契約している。しかし、オリジナルコンテンツを作り始めても、十分ライブラリーが出来るまでには時間がかかる。WalmartはMGMとの協力で作るコンテンツはSVODでの配信ではなく、Vuduの無料(広告付き)コンテンツとして配信すると発表している。SVODに関しての発表は無いが、ある程度のライブラリーが出来るまでは延期になっている様だ。
小売業界の競合としてAmazonを意識しているのはWalmartだけではない。会員制のディスカウント・ストアのCostcoもメンバー特典にOTTビデオを加える事を検討している。自社でサービスを行うのか、あるいはHulu等の既存サービスを無料(あるいは割引)で提供する事になるのかは不明である。
デジタル・ビデオの広告売上が増える事で、広告付きでの無料配信(AVOD)のサービスが見直されている。ストリーミング・プレーヤのRokuはAVODのRoku Channelを開始している。Roku ChannelはRokuプレーヤの価値を高め、広告収入をもたらす。Roku Channelから得られる視聴者の嗜好情報はRokuがOTTビデオ事業者向けに提供している広告挿入のサービスにも使われている。
Comcast/NBCUniversalもAVODの新しいOTTサービス、Watchbackを発表した。Watchbackも視聴者データの収集を目的としている。サービス自体はNBCUniversal系のチャンネルのBravo、USA Network等の番組を配信しているが、新番組等の特定な番組を視聴し、その評価を提出した人の中から抽選でAmazon、Ebay、Burger King等で使えるギフトカードを提供している。
AppleもOTTビデオサービスにいよいよ本腰を入れる様だ。iTunesでの販売/レンタル以外に、音楽サービスのApple Musicでオリジナル番組を配信してきたが、ビデオ専門のサービスはなかった。Appleデバイス向けにSVODも提供するが、オリジナルコンテンツは無料配信する事を検討している。Appleの狙いはAppleデバイスにインストールされているApple TVアプリの利用者を増やし、Apple アプリ内からHBO等のSVODサービスの加入者を得ることである。AmazonがPrime Video加入者にPrime Channelsとして他のSVODサービスへ利用を可能にしているのと同じである。AppleのOTTビデオサービスは2019年初旬にアメリカで開始され、数ヶ月以内に100カ国に広げられる予定である。
