COVID-19によりブロードバンドの加入が増加している。自宅勤務、遠距離教育にはブロードバンドが必要であり、さらに外出を避けることで、家庭内でのエンターテイメントのニーズが増え、OTTビデオ視聴も増えている。COVID-19後に証券アナリストのNew Street Researchは2025年のブロードバンド加入世帯率の予測を84.4%から85.9%に修正している。
新規加入者の増加だけでなく。既存の利用者がブロードバンドサービスに求めることも変化している。以前は、値段が重要であったのが、速度と信頼性が重視されるようになっている。コンサルティング会社のCapgeminiが6,300人を対象に行った調査では48%は現在のコネクションには満足してなく、より高速で、柔軟なサービスを求めている。
この状況は通信事業者の売上と戦略に影響を与える。短期的には、より高速なネットワークを持つケーブルTV事業者がシェアを伸ばすことになる。ブロードバンド市場におけるケーブルTV事業者のシャアは2015年では61%であったのが、2020年Q2では68%に増えている。電話事業者は光ファイバーへの投資をほぼストップし、モバイル通信に注力している。光ファイバーではなく、DSLに頼り続けた事がたたっている。Q2ではブロードバンド加入者は124万世帯増えたが、電話事業者は16万世帯を失っている。
DSLサービスを提供しても既存加入者は減り、新規加入者は増えること無く、赤字になるだけである。AT&Tは10月にDSLサービスの販売を終了した。AT&TのDSL加入者はQ2に2.3万世帯減り、46.3万世帯であった。AT&Tは21州でサービスを提供し、5297万世帯をカバーしているが、その内、光ファイバーが利用出来るのはたったの28%の1493万世帯である。AT&Tの光ファイバーの設置率は人口密度が低いほどに悪く、田舎では5%程度でしか無い。AT&TのDSL販売終了の問題はこれら田舎の地域でのインターネット接続サービスの選択肢が減ることである。
都市でのブロードバンドの加入率はすでに高く、新規加入者の多くは田舎の地域から来ることになる。問題は、田舎の地域ではケーブルTV事業者はComcast等の大手は無く、回線速度は必ずしも良くない。増加するブロードバンドの要求に応えるには田舎の地域でも高速なサービスを提供する必要がある。Altice USA、Sparklight(Cable One)等の中規模ケーブルTV事業者は小規模の事業者を買収し、この需要を満たそうとしている。
電話事業者は一部の地域では光ファイバーへの再投資を始めているが、人口密度の低い地域では光ファイバーは現実的ではない。特に、AT&TとVersionは5Gへの投資に資金が必要であり、光ファイバーに投資する余裕は無い。どちらもLTEを使った固定無線ブロードバンドの提供を進めており、これを5Gに切り替えていく事を考えている。また、いくつかの事業者は最近に競売が完了したCBRS帯域を使った固定5Gのサービスを発表している。また新たなオプションとしてStarlink、Kuiper等の低軌道衛星を使ったブロードバンドサービスも動き始めており、Starlinkはベータテストを開始している。
田舎の地域でのブロードバンドサービスの向上の為にFCCはRural Digital Opportunity Fund の第1フェーズとして、10年間で最大$160億の補助金を支給する。その対象事業者を選択する競売が10月にスタートした。競売には審査に通過した386社が競売に参加する。386社にはAltice USA、Cincinnati Bell、Cox、Frontier、Hughes Network Systems、US Cellular、Viasat、Verizon、Windstream、Lumen Technologies(CenturyLink)、Starlink(SpaceX)等が含まれている。第1フェーズの競売ではより高速で、低遅延のサービスが優先される。フェーズ1の残額と$44億を加えた補助金が第2フェーズの25/3Mbpsネットワークを対象とした補助金として提供される。
田舎での固定ブロードバンドの普及を目的としたRural Digital Opportunity Fundに加え、FCCは10月に5G Fund for Rural Americaを採決した。この$90億の助成金の内、$80億は助成金無しでの4G LTE、あるいは5Gネットワークの提供が無い地域向けに提供される。この残金と$10億は5Gネットワークを使った農業向けのアプリケーション開発に使われる。
