ビデオの視聴動向

Nielsenが発表した2012年第1四半期のテレビ視聴調査によると、1日のテレビ放送のライブ視聴時間は前年同期から減少をした。昨年の1Qの視聴時間は4時間47分であったのが、4時間38分に減っている。

テレビ放送のライブ視聴は前年同期から9分減っているが、DVRでのタイムシフト視聴は前年同期から3分増えているので、タイムシフトを含めるとテレビ放送の視聴時間は前年同期比で6分減っている。DVDの視聴時間は14分から12分へと2分減っている。DVDの視聴時間は2008年1Qでは19分であったのが、大きくと減っている。

Nielsen

テレビ放送、DVDの視聴時間の減少にはNetflix等のOTT-Vが影響を与えている。調査会社のGfKが行った調査によると、Netflix利用者は1週間に5.1本のテレビ番組と3.4本の映画をNetflixで見る。テレビ番組の平均時間を30分、映画を90分とすると1週間で8時間以上Netflixを見ている事になる。OTT-Vでの視聴時間が増えれば、テレビの視聴時間に当然影響を与えるあろうが、意外なことに、過半数以上のNetflix利用者は、Netflixの視聴はテレビ放送の視聴時間に影響を与えていないと考えている。

Netflixが配信しているコンテンツは劇場映画、それに過去のテレビ番組である。Netflixを利用する事で、テレビで放送される劇場映画、それにテレビ番組の再放送の視聴が減るように思われるが、利用者はそう感じていない。GfKの調査では、Netflixの利用によりテレビで劇場映画を見る時間が減ったか、増えたかの質問に対して、減ったと答えたのは16%でしか無い。逆に増えたと答えたのは26%で、59%は変化無いと答えている。テレビドラマの再放送に対しては、減ったと答えたのは17%、増えたは23%、変化無いは60%であった。Netflix利用者の85%程度は、テレビ放送の視聴は同じか、増えていると答えている。

GfK

月間ビデオ視聴時間

 

12年1Q

11年4Q

11年1Q

前年同期比

前年同期差

テレビ放送の視聴

155:46

153:19

158:47

-1.9%

-3:07

タイムシフト視聴(全TV世帯)

12:09

11:44

10:46

12.8%

1:23

タイムシフト視聴(DVR世帯)

26:24

26:10

26:14

0.6%

0:10

インターネット利用

30:05

28:55

25:33

–*

–*

インターネットビデオ視聴

5:34

5:15

4:33

–*

–*

モバイル電話でのビデオ視聴

5:01

4:54

4:50

4.8%

0:11

* 前年同期とは調査方法が変化しているので比較不可能
Nielsen

Netflix等が放送に与える影響として、多チャンネルサービス からの脱退もある。Nielsenのデータでは多チャンネルサービスへの加入世帯は2011年の1Qでは1,158億世帯であったのが、2012年1Qでは1.143億世帯に減っている。ケーブルTVへの加入者が最も多く減っており、6,265.1万世帯から5,980.7万世帯に減っている。衛星放送加入世帯は、3,429.7万世帯から3,456.7万世帯に減った。電話事業者のビデオサービスへの加入世帯は、765.4万世帯から8.89万世帯に増えている。

しかし、これがOTT-Vのインパクトだとは言い切れない。その理由は、地上波だけの視聴世帯も減っているためである。もし、OTT-Vを見ているので、多チャンネルサービスを脱退したのであれば、地上波だけの世帯が増えるはずである。Netflixに加入をしている理由は、ビデオエンターテイメントが好きだからであり、Netflixに入ったからと言ってテレビ放送の視聴を全く止める事は無い。逆に、Netflixの加入者の多くは、ビデオエンターテイメントが好きであり、多チャンネルサービスにも引き続き加入をしている。GfKの調査では、Netflixユーザが多チャンネルサービスにも加入している理由として、ライブでニュースを見るためが77%、新しいテレビ番組が66%、ライブのスポーツ中継が58%であった。

多チャンネルサービス加入世帯

12年1Q

11年4Q

11年1Q

ケーブルTV

59,807

60,473

62,651

衛星放送

34,567

34,553

34,297

電話事業者

8,890

8,452

7,654

多チャンネル合計

103,264

103,478

104,602

地上波だけの世帯

11,067

11,043

11,193

合計

114,331

114,521

115,795

Nielsen

多チャンネルサービスへの加入者だけが減っているのであれば、それはコードカッティング(有料放送からの脱退)であるが、テレビ視聴世帯全体が減っているのは、テレビカッティングである。テレビ視聴世帯は過去3年連続で減っており、当然テレビの視聴者も減っている。Nielsenに統計では、2012年1QのTV視聴者数は、前年同期から1.8%の減少をしている。

利用者数

 

12年1Q

11年4Q

11年1Q

前年同期比

テレビ放送の視聴

283,302

284,455

288,500

-1.8%

タイムシフト視聴(全TV世帯)

145,553

143,881

133,657

8.9%

タイムシフト視聴(DVR世帯)

115,207

113,453

107,065

7.6%

インターネット利用

211,633

212,659

190,913

–*

インターネットビデオ視聴

162,523

165,712

142,437

–*

モバイル電話の利用

233,875

232,663

231,000

1.2%

モバイル電話でのビデオ視聴

35,957

33,526

28,538

25.9%

* 前年同期とは調査方法が変化しているので比較不可能
Nielsen

Netflixユーザは平均で、8時間以上Netflixを見ており、その80%以上はNetflixに加入した事で、テレビ放送の視聴は増えた、あるいは変わっていないと答えている。彼らのビデオエンターテイメント利用時間は増えていることになる。しかし、それと同時に、テレビを全く見ない世帯も増えている。