ゼロレーティングは合法か

携帯電話事業者が特定のOTTサービスのトラフィックを課金対象から除くゼロレーティング(Zero Rating)はネットワーク中立性上に触れるのかが議論されている。T-Mobileは2014年に一部のストリーミング音楽のサービスをパケットの課金対象から外し、2015年末からはNetflixを含めたOTTビデオのサービスを480p配信で見た場合も課金対象外とした。対象外のサービスもあるが、T-Mobileのゼロレーティングは複数のサービスが対象で、特定のOTTサービスを優遇する為ではない。他の携帯電話事業者と競合する為の施策であることから、これに対する反対論は殆ど無かった。しかし、Verizonは自社のOTTサービスのGo90をゼロレーティングし、AT&TもDirecTV Nowを課金対象から外した事で、議論が活発になっている。

ネットワーク中立性規制では通信事業者が特定なネットワークサービスのトラフィックを優先する事を禁じている。自社のOTTビデオサービスをゼロレーティングする事がそのサービスを優先するのであれば、規制違反である。

Verizonは自社がGo90をゼロレーティングしている事はAmazonがPrime会員に対して郵送料を無料にしている事と同じであり、合法だと語っている。しかし、Amazonが扱っている製品はAmazon以外からも購入可能であり、使っている配達事業者もAmazonの独占では無い。Amazonと同じ製品を販売し、その送料を無料にする事は他社でも出来る。自社のサービスを自社のネットワークだけで優遇しているのは異なる。

AT&TはFCCからの問い合わせに対して、DirecTVのパケットを課金対象から外すことは消費者の為であり、無料化は非競争的では無いと反論している。AT&Tは、FCCにはこの件に対する調査権限は無いとし、協力はしない姿勢である。

AT&TとVerizonがゼロレーティングをしているのは自社のOTTサービスだけであり、ネットワーク中立性に触れていると判断される可能性が高い。しかし、ネットワーク中立性を進めてきたFCCのWheeler会長は次期大統領が就任する1月20日に辞任する。これにより、FCCは大きくと変わり、ネットワーク中立性規制を廃止にする可能性もある。AT&TもVerizonも共和党員が委員長になり、風向きが変わるのを待っている。