なぜ、SVODコンテンツを減らすのか

Warner Brothers Discovery(WBD)は昨年から(HBO)Maxのコンテンツを減らしている。番組のパージは今でも続いており、5月だけで87タイトルがMaxのライブラリーから取り除かれた。WBDだけでなく、DisneyもDisney+とHuluからコンテンツを削除しており、同社は今期に$15億の減損処理を行う。

SVODサービスのコンテンツは多いほど良く、Disneyを含め、コンテンツ事業者はこれまでの配信契約が切れるのを待ち、ライブラリーを増やしてからDTCを開始した。しかし、現在は逆の動きが起き、コンテンツ事業者は番組をライブラリーから削除し始めてる。これは、資産の有効利用とコスト削減のためである。

コンテンツは多いほど良いが、視聴が少ないコンテンツがいくらあっても、加入者を引き付けることにはならない。加入者の見終えたコンテンツをライブラリーに置き続けるより、FAST等の他のサービスにライセンスした方が金になる。また、FASTで古いシーズンを見た人が、新しいシーズンのために、加入者になる可能性もある。WBDはRokuとTubiと契約し、Maxから取り除いたコンテンツの一部をAVODとしてライセンスし、さらに、14のWBDブランドのFASTチャンネルの提供をしている。

コンテンツを削除することで経費の節減にもなる。コンテンツをライブラリーに置くコストは無料ではない。視聴はオンデマンドであっても、コンテンツに関わる権利金は視聴されなくても支払うことになる。脚本家、監督、俳優等に対する再利用料はSVODでの視聴がゼロであっても、テレビで再放送したと同様にライブラリーに加えることで支払われる。再放送であれば、広告収入があるが、SVODでは再利用料が差損になる可能性がある。1つのコンテンツでは大きな金額ではないが、数が多ければ、それなりの経費になる。

再利用料以上に金額が多いのはライセンス料である。ライブラリーには権利は他社が持つ、あるいは他のスタジオとの共同制作等で、ライセンス料をかかるコンテンツもある。また、100%自社のコンテンツであっても、帳簿上では金の動きがある。コンテンツをライブラリーから取り除くことで、一時的な減損が起きるが、支払いは無くなるので、収益は向上する。

SVODサービスから外し、その分を減損処理したコンテンツは数年間、ライブラリーに戻すことは出来ない。しかし、コンテンツの資産を帳簿から削除する訳ではないので、Amazon、Apple、Google等のTVODで提供する、あるいはFAST等の他のサービスにライセンスすることは出来る。DisneyはDisney+とHuluから削除したコンテンツをいかに使うかは発表していないが、いずれはRoku Channel等にライセンスするであろう。