ComcastがNBC Universalを買うことを検討していると報道されている。これは特に意外な事ではない。Comcastがコンテンツ事業を求めているのは明らかで、2004年にDisneyを乗っ取ろうとした事があり、その後もVersus等のネットワークを設立している。
また、NBC/Uの80%を持つ、GEはこれを持て余している事も明らかである。GEの工業用機器とコンテンツのシナジーは無い。儲けが出ていれば、シナジーが無くてもメリットになる。しかし、現在、NBCネットワークは視聴率が減り、NBCが保有する放送局は広告収入の減少で悩んでいる。GEの金融部門のGE Capitalが経営難にあり、GEはNBC/Uを売ることで、再建に必要な資金を得ることが出来る。
しかし、ComcastがNBC/Uを買うことに対する疑問もある。コンテンツ事業者はその配信を行う事業が欲しく、ハリウッドはTVネットワークを買い、TVネットワークは放送局を買ってきた。地上波ネットワークに手を出せなかったTime WarnerはケーブルTVネットワークを持ち、Time Warner Cable(TWC)を持っていた。しかしこの垂直統合は必ずしも成功はしていない。現在、TVネットワークは直接保有する地上波局を増やすことはすでに考えてなく、Time WarnerもTWCを別会社化している。New CorpもDirecTVを買ったが、その後、手放している。オープンな、インターネットがビデオコンテンツ配信の主要なアプローチになろうとしている現在、垂直統合は古い戦略との考えもある。
報道によると、ComcastはNBC/Uを子会社にするのではなく、GEとの共同保有の別会社にする。Comcastへの短期的なメリットは、コンテンツが増える事である。Universal系の新作映画を独占的にDVDへのリリース、あるいはそれ以前にVODで提供出来れば、大きな武器になる。しかし、ComcastがTVネットワークを持つことは必ずしもメリットにはならない。規制上、ケーブルTV事業者は保有するコンテンツを独占する事は禁止されている。Comcastが膨大なTVネットワーク資産を持つことで、他の多チャンネル事業者との争いが増え、FCCに警戒される事になる。
それ以上の問題はComcastとNBC局との関係である。地上波ネットワークの視聴シェアが高かった時代は、主要な番組は地上波ネットワークで放送され、ケーブルTVネットワークはその再放送、あるいはマイナーな番組の放送であった。しかし、多チャンネルネットワークの合計シェアが、地上波の4大ネットワークのシェアを上回っている現在、この公式は当てはまらなくなっている。地上波再送信はComcastに取り、収益性は低い。NBC/Uが良い番組を多チャンネルネットワーク向けに使うことを増やせば、Comcastの収入は増える。しかし、これにより、地上波ネットワークのNBCの番組の質が落ちれば、NBCの視聴率はさらに下がり、広告収入は減る。NBCは大都市でNBC局を保有しており、その損益も増すことになる。
Comcastとしてはコンテンツ制作者であるNBC/Uを持つことはシナジーがある。しかし、NBC/Uは地上波ネットワークでもあり、また、NBC局以外に、スペイン語放送のTelemundo局も持つ地上波放送局会社でもあり、これとケーブルTV事業は必ずしもシナジーがある訳ではない。
