議会は、衛星通信法のSTELA(Satellite Television Extension and Localism Act)を更新する為の法案、STELAR(STELA Authorization Act)を議論している。STELAは、衛星放送事業者にたいして、地上波再送信が出来ない地域では他の地域からの放送を「輸入」する事を許可している。5年後の更新が必要で、2010年のSTELAは今年の12月で切れる。
しかし、下院を通過した2015年STELARには衛星における地上波再送信の権利と義務だけでなく、地上波放送、それにケーブルTVにも係る内容が含まれている。地上波関連では、オーナーが異なる局が協力し、再送信契約を行ってはいけない、あるいはFCCが最近出した異なる局が共同で広告販売を行う事を禁止する規制に18ヶ月の猶予を与える条項等がある。
下院を通過したSTELARに含まれる最もインパクトの強い項目はケーブルTV事業者に対するCableCARD規制の廃止である。CableCARD規制は、ケーブルTVのSTBにCAS(コンディショナルアクセス)を内蔵する事を禁じ、別途にCableCARDとしてCASを提供する事を義務化している。
この規制は、1996年の通信法から始まっている。通信法は、ケーブルTV事業者が独占的にSTBを提供する事を出来なくする為に、小売でも提供する事を求めた。ケーブルTV放送にはSCTE(Society of Cable Television Engineers)の規格がある。しかし、どの世帯が、どのチャンネルを見る権利があるかを判別するCASが異なる。STBの大手、Cisco(当時はScientific Atlanta)とArris(当時はGeneral Instrument)のCASは全く異なっている。
この規制作りを任されたFCCが取った方法は、STB(あるいはケーブルTV対応TV)自体はQAMチューナとサービス提供の為のミドルウェアとし、CASは別のハードウェア(PCカード)で提供する事であった。CabelCARD規制は2007年に有効になった。
この規制は成功したとはいえなう。ケーブルTV業界と家電業界の縄張り争いもあったが、一番の問題は対象がケーブルTVだけで、衛星放送、IPTV等の新しいサービスに対応していない事である。ケーブルTV対応のテレビを買えば、STBをレンタルする必要が無く、引っ越して別の事業者になっても同じテレビで対応出来る。しかし、衛星放送、あるいはIPTVへ乗り換えるのであれば、ケーブルTV対応TVのこの機能は無駄である。利用者としては、ケーブルTV事業者が異なる地域に引っ越す可能性より、より良いサービスを求め異なる多チャンネルサービス事業者に乗り換える可能性の方が遥かに高い。
CableCARDの効果は僅かでしか無い。NCTAがFCCに提供しているデータによると大手9社のケーブルTV事業者が導入しているCableCARDは第1四半期で4700万台になっている。しかし、この内、市販されたテレビ、あるいはDVRで使われているCableCARDはたったの616,000台でしか無い。4000万台以上のSTBはケーブルTV事業者からのレンタルであり、本来はCableCARD機能は不要である。CableCARDにより成功をしたのはTiVoである。しかし、そのTiVoの加入者の殆どはケーブルTV事業者経由であり、小売のTiVoは100万人以下である。
CableCARD規制の廃止が議会を通過するには上院も同じ項目の法案を通過させる必要があるが、議会は夏休みに入るので、上院がSTELARを議論するのは早くても9月になる。
