アメリカのケーブルTV事業者に取っては大きな問題であったCAS内蔵禁止規制が12月で廃止になった。ケーブルTV対応の家電製品(TV、DVR等)の市販を可能にする為に、FCCは1988年にCASをカード化したCableCARDの採用を規制化し、さらにその普及の為にケーブルTV事業者がレンタルするSTBにもCableCARDを強制し、STBにCASを内蔵する事を禁止した。
これにより、これまでのCASを内蔵したSTBを新たに設置する事は不可能になり、より高価なCableCARD対応のSTBを提供する事が義務化された。規制の背景には1996年通信法による、多チャンネルサービスのオープン化がある。固定電話と同じに、事業者がユーザ端末も独占する事を禁止し、端末市場を開放する事が目的である。しかし、FCCの規制はケーブルTVだけが対象であった(当時はケーブルTVが市場をほぼ独占していた)。
CableCARD対応のテレビ、あるいはDVRが販売されてもそれを衛星放送、あるいはIPTVで使う事は出来ない。この規制により、CableCARD対応のTV(あるいはDVR)を購入し、引っ越した先で別のケーブルTV事業者と契約した場合でもSTBのレンタルをする必要が無くなった。しかし、ケーブルTVサービスを止め、衛星等の多チャンネルサービス事業者と契約した場合、CableCARD対応TVのチューナは使えなく、STBが必要になることは変わらない。
CableCARD対応のTVはすべて失敗した。CableCARDの恩恵を受けたのはTiVoだが、TiVoが加入者を伸ばしているのは多チャンネルサービス事業者経由の販売であり、それも特に欧州が多い。TiVoが成功している理由はそのソフトウェア(UI、検索等)が優れている為であり、アメリカの全なケーブルTVサービスで使えるDVRを市販したためではない。
FCCが11月に発表したデータによると、CableCARDの設置台数は5460万台で、この内、ケーブルTV事業者が設置したSTB向けが5400万台で、市販製品向けは61.9万台であった。ケーブルTV事業者の設置したSTB向けCableCARDの導入は8月から100万台増えたのに対して、市販製品向けのCableCARDはたったの1000台しか増えていない。CableCARDを規制化し、STBのレンタルを無くしていく事は失敗であった。FCCはCableCARDをリプレースする全多チャンネルサービス対応の新たな規格を検討しているが、多チャンネルサービス事業者はこれに反対をしている。
