スーパーボウル視聴が5.5%ダウン

2月7日のスーパーボウルLVの視聴者数は9640万人で、昨年の1.021億人から5.5%の減少となった。これはCBS、スペイン語放送のESPN Deportes、それにCBS Sports、CBS All Access、NFLアプリ等のデジタルも加えた総視聴者数である。最も視聴者が多かった2015年のスーパーボウルは1.144億人の視聴があったので、それとの比較では15.7%も減っており、2007年以来の低い視聴者数となった。CBSの発表(Nielsenの数字がベース)ではデジタル・プラットフォームでの視聴は570万人、放送は96.4万人(両方で視聴した人もあるので、合計は9640万人を超える)となっている。デジタル・プラットフォームでの視聴は65%の増加となり、放送での視聴は8.8%の減少となる。

昨年は視聴が増えたが、スーパーボウルの視聴はピークの2015年から減少を続けている。観客がいないとエクサイティングでは無い等の理由で今季のスーパーボウルの視聴は平均で7%程度少なかったので、5.5%の減少であれば妥当であろう。例年だとスーパーボウルを口実にホーム・パーティーあり、NFLファンでない人も見るが、今年はそれも無い。スポンサーも減り、Paramount+を含めて、ViacomCBSの自社関係の宣伝が29本もあった。

しかし、放送での視聴が8.8%%ダウンと言うのに問題がある。それは、今年の発表ではHulu with Live TV等のvMVPDでの視聴は放送に含まれているが、昨年のFoxの発表ではデジタルに含まれていことだ。vMVPDは放送であると同時にデジタルであり、どちらも間違いではないが、比較には使えない。Nscreenmedia.comの計算では今年のスーパーボウルをvMVPDで見た人は330万人であったので、これを除くと、実際の放送での視聴者は10%程度の減少となる。


Conviva

放送からデジタルへのシフトは予想以上のペースで進んでいる。デジタルでの視聴の内、モバイルデバイス対コネクテッドTVの率は不明であるが、長編の視聴はCTVの利用が圧倒的に多いので、ある程度の時間を見続けた人はCTVで見たであろう。ENGINE Insightsの統計ではスーパーボウル視聴者の69%はスマートTVで視聴したが、その何割が放送で、何割がOTTでの視聴であったかは分からない。Convivaの「Conviva’s Super Bowl LV Recap」(http://bit.ly/3jEykzj)によるとCTVでのスーパーボウルの視聴の41%はRoku、24%はFire TVで、2つのプラットフォームが65%を占めている。SamsungとLGのスマートTVの合計は10%であるので、スマートTVでスーパーボウルを見た人の殆どは放送で見たと思われる。

視聴デバイスの変化は広告収入にもインパクトを与える。ストリーミング・プレーヤであればアドレッサブル広告が出来る。スマートTVであれば放送でもアドレッサブル広告が可能である。視聴プラットフォーム、嗜好等に合わせた広告が出来るようになる。しかし、スーパーボウルの30秒スポットが$500万以上で売れるのは、リクスが少ないからである。視聴環境が大きく変化し、視聴デバイスが分散し始めるとスーパーボウル広告の安定性は減ってく。

もう1つの問題は、スポーツが放送を支えられなくなって来ていることである。以前はオンデマンドが普及しても、ニュースとスポーツが放送を支えると言われてきた。だが、ニュースはデジタルに奪われている。そして、コードカッティングが進むことで、スポーツチャンネルの生存も難しくなっている。先月号で、NBC Sports Networkが今年で終了することを書いたが、DisneyもESPNの縮小を予定しているようだ。DisneyはESPN自体だけでなく、ESPN 2、ESNP U等の数多くのスポーツ専門チャンネルを持っている。コードカッティングにより、視聴者が減り、多くのチャンネルを支えることが出来なくなっている。ESPNはNFL等のメージャー・スポーツに専念し、X Games等の他のスポーツはキャンセル、あるいはESPN+に移行することを考えている。これはコストの削減になるが、長期的な解決では無い。多チャンネルサービス加入者の65%は50歳以上の人であり、若い世代にスポーツを見てもらうためには、メージャースポーツもOTT化を進めていく必要がある。

スーパーボウルの視聴者は減ったがNFLはまだ強気である、CNBCによるとNFLは次期の契約料を倍増しようとしている。月曜日の試合を放送しているDisneyのESPNの契約は2021年のシーズンで切れ、他のネットワークの契約は2022年で切れる。ESPNは$20億、CBS、Fox、NBCはそれぞれ約$10億で契約をしている。次の契約交渉にはAmazon等が加わると思われ、NFLをそれを意識しているのであろう。Sports Business Journalによると、DisneyとNFLの契約更新は間近であり、契約額は30%アップの$26億になる。同誌は、Disneyの契約にはABCスーパーボウルを放送する権利も含まれていると報じている。ABCは2006年以来スーパーボウルの放送はしていなく、NBC、CBS、Foxが交代で放送をしてきた。

Disneyとの交渉がまとまると、2022年シーズンで契約が切れる月曜日以外の試合の交渉が本格的に始まる。NBCUniversal、Fox、ViacomCBS以外にAmazon等が参加する。Wall Street Journalによると、AmazonとNFLはすでに話し合いをしており、Amazonは木曜日の試合の独占権を得ることを狙っている。番組のオンデマンドから始まり、ニュースチャンネルのOTT化に進み、次はスポーツの放送に変化が出始める。