CablevisionがネットワークDVRをテスト
米国のケーブルTV事業者のCablevisionは今年の第2四半期からロングアイランドの同社のシステムで,ネットワークベースのDVRのサービスを約1000世帯対象に行うことを発表した。ネットワークベースのDVRサービスに関してはこれが著作権上,番組提供者の許可無しで行えるかが不明瞭である。ケーブルTV事業者が送信する番組を録画し,それを無許可で再放送する事は違法であり,これまで番組提供者(TVネットワーク)はケーブルTV事業者のネットワークベースのDVRを許さない姿勢を明らかにしてきた。
Time Warner Cable(TWC)は一時,Mystroと呼ばれるネットワークベースのDRVサービスを計画したが,番組提供者の猛反対でスタートはしなかった。TWCは現在,Universal/NBCの許可を得て,Start Overと呼ばれる,番組が放送されている時間に限定されたネットワークDVRサービスをテストしている。Start Overでは視聴者は番組を放送中であれば,いつでもその番組を最初から見る事が出来る。9時からスタートの1時間番組であれば,10時までであれば,初めから再スタートする事が出来る。広告スキップ等の機能は無い。
Cablevisionはこれぞれの加入者に対して,独立した80 GBの容量をヘッドエンドのサーバーに確保し,加入者がそれに自由に録画をする事を可能にする。Cablevisionは同社が番組の録画を行い,再放送をするのではなく,既存のDRVと同様に加入者が独自に録画し,再生しているのであり,そのハードディスクがどこにあるのかは問題では無く,個人コピーの範囲であるとしている。加入者が設定した番組の録画はそれぞれのディスクスペースに行われる。もし,100人の加入者が同じ番組を設定した場合,100のコピーが作られる。ネットワークがそのサーバーの全部の番組を録画する方が遙かに効率的であるが,これは著作権上の問題がある。Cablevisionは現在,DVRを月額9.95ドルで提供しているが,ネットワークDVRはそれより安い値段で提供すると発表している。
どの程度の反対が番組提供者から出てくるかは分からないが,Cablevisionは多くのコンテンツ事業者と話し,理解を得ていると発表している。これまでネットワークDVRには絶対反対であった番組事業者の考えは変わり始めている。まず始めにDVRに対する考えの変化がある。DVRは広告をスキップし,放送番組の価値を減らすとして,反対してきた。しかし,早送りが出来ても,見る広告は見ており,またDVRのタイムシフトにより,番組を見る人が増えることはTVネットワークに取りプラス要因である。DVRは普及し始めており,これをストップする事は不可能であろう。番組事業者はDVRに戦うより,いかにこれを有効に使うかを考え始めている。
DVRの視聴者をその合計視聴率に加えることはTVネットワークに取り,重要である。スタンドアロン,あるいはSTB内蔵のDVRより,ケーブルTV事業者のサーバーにある方が視聴者データは確実に集めやすい。また,DVRの場合,録画された番組が不正にコピーされるリスクが高いが,ネットワークDVRではそのリスクは大きくと減少出来る。ネットワークDVRの方が管理されたタイムシフト環境を提供可能であり,番組事業者にメリットのあるサービスにして行くことが出来る。
ケーブルTV事業者に取り,このCablevisionのテストは重要な物になる。もし,番組提供者の合意を得る事が出来,利用者の評判も高ければ,これはケーブルTV事業者の大きな武器になる。これにより,DVRサービスの価格を下げ,衛星TV事業者に対して優位に立つ事が出来,さらにアナログケーブルTV加入者をデジタルサービスにアップグレードさせるキラーアプリケーションになるかも知れない。
また,このテストが成功すれば,ケーブルTV事業者に対するサービスとハードウェア(STB)のアンバンドル規制に対する大きなマイナス要因を無くす方向に進む事が出来る。ケーブルTV事業者は現在,インタラクティブサービス,DVR等,STBを高機能化する事で新サービスを実現し,料金を増やしてきた。もし,STBがアンバンドルされ,市販になると,新サービスの追加が容易に出来なくなる。STBが高機能になり,それを家電ベンダーが直接提供し始めると,ケーブルTV事業者に競合するサービスを家電ベンダー自体が加え始め,ケーブルTV事業者への収入が減ることも考えられる。もし,ネットワークDVRのサービスが成功するば,加入者のSTBはThin Client化させ,機能は全てヘッドエンド側に持たせることも現実的になる。STBを数十ドルのシンプルなボックスに出来れば,これをアンバンドルするデメリットは無くなり,ケーブル事業者に対するリスクは大きくと減る。
フランチャイズ騒動
AT&Tはそのビデオサービスをカリフォルニアでも開始をしたいが,その進歩は既存のフランチャイズ法が邪魔をしているのプレスコンファレンスを州都のサクラメントで行った。カリフォルニアでも州単位のフランチャイズを認める法案が動き始めている。California Cable & Telecommunications Association,それにComcast等はAT&Tは州単位のフランチャイズを得ることで,高所得の地域のみで光りファイバーサービスを提供し,低所得地域を差別するつもりだと批判している。これに対してAT&Tは地域を差別する「レッドライニング」を行う意志は無く,フランチャイズ契約に従う意志があると述べている。しかし,AT&Tが本当にフランチャイズ交渉を行い,フランチャイズの内容に従う意志があるのかを疑う声もある。AT&Tは2005年からサンノゼでフランチャイズ交渉を始めているが,進展が無く,Project Lightspeedを進める妨害になっていると言っている。しかし,サンノゼ市の発表ではAT&Tは同市に対してフランチャイズ契約をしても良いが,それは「フランチャイズ契約ではない枠組みの範囲」と言うだけで,実際の交渉には至っていない。このAT&Tの態度に対して,Comcastはフランチャイズ法は良い法律であり,自治体とのフランチャイズ契約は必要な物だと言っている。しかし,そのComcastもフランチャイズ契約では本当は苦労をしている。Comcastのサンノゼ市におけるフランチャイズ契約は6年目に切れており,6年間もサンノゼ市と更新契約の内容に関して交渉を続けており,現在もまだ月々の仮契約で事業を行っている。
VerizonはAT&Tとは違い,ちゃんとフランチャイズ契約を自治体と行った上で,サービスを提供してきているが,騒動から逃れられない。Verizonはニューヨークのロングアイランド地域のヘンプステッドでフランチャイズを得てFiOS TVを始めようとしているが,Verizonはヘンプステッドの裕福な地域でしかサービスをする意志がないとの噂が出ている。VerizonはこれはNew York Cable TV AssociationとロングアイランドのケーブルTV事業者のCablevisionのデマであり,Verizonはフランチャイズ契約の内容通りに今年中に65%,2007年には87%をカバーし,5年以内にフランチャイズ地域の100%でサービスを提供し,低所得地域を差別することは無いと反論している。CablevisionはこのVerizonの発表に対して「我々はVerizonのフランチャイズ契約はサービス提供市域を意志的に選択することを可能にしていると信じているが,この契約成立が示していることはフランチャイズ契約を得るのは困難な事ではなく,Verizonは州,あるいは連邦規制を書き換える事を止めて,自治体と協力して行く方法を選ぶべきだ。」と切り返している。
反フランチャイズ改正のロビーグループ
MSOを代表するNational Cable Telecommunications Association(NCTA),American Cable Associationとラテンアメリカ系住民の組織Hispanic Federation,黒人女性の団体のNational Congress of Black Womenはフランチャイズ規制を書き直し,全米のおけるビデオサービスの提供権を可能にする法改正に反対するロビーグループ,Broadband Everywhereを設立した。Hispanic Federation,National Congress of Black Womenはフランチャイズ規制が無くなることで,電話事業者は裕福な地域のみに次世代サービスを提供する事が可能になる事で,改正に反対をしている。
アラカルトサービスへの反論
多チャンネルサービスのチャンネルを現在のパッケージタイプ(拡張ベーシックに加入すると数十チャンネルが提供される)から個々のチャンネルを選ぶことが出来るアラカルト型にする事に対してFCCは2005年にいったんはこの方法は現実的でないとの報告を発表したが,2006年2月にこの報告には計算エラーがあり,アラカルト方式は必ずしもコスト高にはならないとの報告書を出した。これに対して,NCTAとDisneyはそれぞれFCCの新しいレポートは間違っているとの報告書を出版した。NCTAの報告書はhttp://www.ncta.com/issues/alacarte/ からダウンロード可能。
また,調査会社のLeichtman Research Groupは消費者はアラカルト型に最初は興味を持つが,それによりチャンネル数が減り,またデジタルサービスへの加入が必要になる事を知るとアラカルトへの関心は減るとのインタビュー結果のレポートを出版した。
アナログTV表示ラベル
CEAはTVベンダーに対してアナログチューナしか内蔵していないTVに対して,2009年2月17日のデジタル移行後は地上波放送を受信不可能になるとの表示ラベルを付けることを求めている。CEAは米国の消費者は今年に180万台のデジタルTVを購入すると予測してる。これは昨年からの50%増で,この予測が正しければ今年はデジタルTVの販売台数がアナログTVを上回る最初の年になる。
DishはHD放送を拡張
EchoStarのDish Networkは今年の2月からニューヨーク市でHDによる地上波再送信を開始し,その後アルバカーキ,アトランタ,ボストン,シカゴ,デンバー,カンザスシティー,ロサンジェルス,ミネアポリス,ナッシュビル,フィラデルフィア,ソルトレーク,ワシントンDC,ネブラスカに一部,ワイオミングの一部でHD地上波再送信のサービスを開始している。同社は年内に米国の50%でHDサービスを開始する予定。
再送信料金を求めるCBS
これまで地上波局は再送信を提供するケーブルTV事業者に対して再送信料金は求めていなかった。通常,局を保有する会社は無料で再送信を許可し,その代わりに局を持つ会社が多チャンネルネットワークを持ってれば,それらのネットワークの有利な送信契約を求めてきた。例えば,CBSを持つViacomであれば,CBSの放送は無料で提供する代わりに,MTV等のネットワークの放送に対して有利な契約を行ってきた。しかし,CBSとViacomが別会社になった事で,CBSは独自に多チャンネル事業者と交渉を行い,正当の再送信料金を求めると発表している。その最初の交渉はVerizonのFiOS TVサービスで,最近CBSとVerizonはCBS局の再送信,それにCBSの番組のVODも含む,契約を行った。再送信契約の金額は発表されていないが,1世帯,月50セント程度の額になったと推測されている。
2009年に多チャンネルサービスが増える?
調査会社のStrategy Analyticsは2009年2月のアナログ放送終了はデジタルチャンネルサービスの加入者を大きくと増やす要因になるとのレポートを発表した。このレポートでは同社はこれまで多チャンネルサービスに加入していなかった世帯も,アナログ放送の終了で,多チャンネルサービスに加入をする動機となり,デジタルサービスへの加入世帯数は現在の5700万から2008年末には7700万に増えると予想している。
双方向CableCARDが出荷
CableLabsはScientific Atlanta(Ciscoの買収後,社名からハイフンが無くなった)のM-Cardと呼ばれているマルチストリームのCableCARDを認証した。これまでのCableCARDは単方向,単独ストリームであり,VOD等の双方向サービスには対応出来なかったのに対して,M-Cardは双方向対応のデジタルケーブル対応TV等のデバイスと使うことで,双方向サービスにも対応出来る。STBからCASを切り離す方法としてMSOはダウンローダブルなソフトウェアベースのCAS(DCAS)の開発も進めているが,FCCとの約束上,CableCARDの開発とサポートも進めている。NCTAはFCCに対してこれまでに14万台のCableCARDが出荷されていると報告している。
別のニュースでPanasonicはMSO向けにOCAPのレファレンスプラットフォームを出荷すると発表した。このPCH1000レファレンスプラットフォームはMSOがM-CardとOCAPを組み合わせた双方向デジタルケーブル対応(DCR)のTVとのシステムの互換性をテストする物で,これにより双方向DVR製品が出荷される以前に確認出来る。また,PanasonicはSTB,他の家電デバイス向けのOCAP DVRアプリケーション開発キットを6月から出荷を始めると発表している。
NBC UniversalのSMS ITV
NBC Universalはこの夏にSMS(携帯電話のショートメッセージ)を使ったインタラクティブTV番組,「Treasure Hunters」を放送すると発表した。Treasure Huntersは伝説,ファンタジー,歴史に基づいたリアリティー番組で,1つのエピソード中に2つの質問が提供される。視聴者はこれにSMSで返答し,正しい答えをした視聴者にはコードが送り返され,そのコードを使いTreasure Huntersのウェブサイトで「道具」を見つける事が出来る。9つの道具を集めた視聴者は10エピソード目にウェブ上で宝探しのコンテストに参加する事が出来る。