スマートTVの動向
スマート(あるいはコネクテッド)TVが今後のトレンドであることは明らかある。The Diffusion Groupが行った調査では、HDTVを6ヶ月以内に購入する予定の世帯の78%はスマートTVを検討しており、3D対応TVの50%より高い。しかし、どの様な形でスマートTVが提供されていくのかはまだ不明瞭であり、CESの展示を見てもその答えは見えてこない。
ストリーミングメディアの外付けデバイスとしては、アメリカ国内では大きなシェアがあるRokuは、CESの前にMHLのポートを使ったスティック型のプレーヤを発表した。この製品の良いことは、通常のSTBでは不可欠の配線が不要な事だ。電力供給の出来るMHLポートを使う事で、全く配線無いしで、取り付け簡単なスマートTVを提供出来る。TVベンダーはTV本体を変えることなく、コネクテッド機能を加える事が出来る。このコンセプトはコネクテッドTVのアップグレードも容易にする。コネクテッドTVは変化を続けており、来年にはどの様な機能が求められるかは分からない。プラグ&プレイの低コストのデバイスであれば、常に新しい機能をTVに加えていく事が出来る。Roku以外の会社もスティック型のOTT-Vプレーヤを発表している。その1つのAlways Innovatingの製品は後記する。TVのハードウェアをアップグレードするコンセプトは、Samsungも採用をしている。同社が発表したスマートTVは専用のポートを持ち、ハードウェアのアップグレードをする事が可能になっている。
CESの前には多くの会社がGoogle TVへのサポートを発表し、Google TVの勢力が大きくと増したようにも見えた。しかし、CEDではっきりしたのは、これらベンダーはGoogle TVに100%の支持をしているのではなく、選択肢の一つとして、手を付けている様だ。Google TV 1.0でやけどをした、Sonyが消極的になっているのは仕方が無い。同社は、Google TV STB、それにGoogle TVを登載したBlu-rayプレーヤを出荷するが、TVのミドルウェアとして、Google TVを登載する予定は無い。
Vizioは、Google TV STB、それにGoogle TVを登載したBlu-rayプレーヤを出荷するだけでなく、Google TVを使った47、55、65型の3Dを販売する。しかし、VisioはGoogle TVの名前を使わず、独自のインタフェースを使い、VIA(Vizio Internet Apps)Plusとして発売をする。
LGは、47、55型の3DTVでGoogle TVを採用する。価格は発表されていないが、ハイエンドのTVになる様で、売れ筋製品での採用では無いと思われる。LGは独自のスマートTVプラットフォームを押しており、CESの製品発表は、自社のスマートTVが主役で、すでにアプリケーションの数は1200を越したとの事で、Google TVは脇役であった。
もっと、Google TVに冷たかったのはSamsungだ。同社はCES前にGoogle TVと契約したとの事であったが、CESでのプレスリリースではまったく、Google TVには触れなかった。Samsungも自社のスマートTVプラットフォームに力を入れており、CESでは音声、ジェスチャー、それに顔認識を使ったインタフェースを発表した。Samsungのユーザインタフェースは、20~30の言語に対応し、カメラを登載し、利用者のジェスチャーに反応する以外、利用者の顔を認識する事で、自動的にその利用者がパーソナライズしたメニュー表示する事が出来る。
Google TVではない、スマート(コネクテッド)TVも色々と発表された。その内の1つ、Lenovo K91はAndroid 4.0を採用しているが、Google TVではない。最初は、中国だけでの発売になるLenovoのスマートTVは、OSはAndroidだが、Google TVのインタフェースは使わず、Android Marketへのアクセスも無い。Lenovoは独自のインタフェース、アプリケーションマーケットを提供する。Lenovo K91も音声認識を採用している
Androidを使うが、Google TVでは無い製品はLenovo K91だけではない。Samsungはインテリジェントな、Androidを使ったTV向けのウェブカメラを発表している。この製品は、Androidベースで、既存のTVにSkype等の機能を提供する事が出来るが、Google TVの機能は登載されていない。また、Always InnovatingはAndroid 4.0を登載したHDMI Dongleを発表している。HDMI Dongleは、Rokuの製品と似ているが、HDMI対応であり、電源が別に必要となる。プロセッサーはTIのCortes-A9 OMAP4で、1 GBのRAM、それにSDカードのスロットを持し、Netflix、Hulu Plus、Amazon Instant Vdieo等のアプリケーションが提供される。同社は、HDMI Dongleを市販するのではなく、ライセンスを提供する予定だ。製品化は2012年夏の予定。
Google TV関連で最も興味深いソルーションはMyriadのAlien Vueである。Myriadは、iOS、他のデバイスでAndroidを走らせるAlien Dalvikを開発した会社で、Alien VueはそのTV向けのソルーションである。ケーブルTV事業者がGoogle TV、あるいはAndroidを採用する可能性は低い。すでにTru2wayに大きな投資をしており、今からミドルウェアを変えることは困難である。すでに導入されているSTBをリプレーするするコストは膨大になる。MyriadのAlien Vueはクラウド上でAndroidを走らせることが出来る。このため、ケーブルTV事業者は既存のSTBを使ったままで、Androidアプリケーションを走らせる事が可能なサービスを提供出来る。Androidのアプリケーションはクラウド上で実行されるので、STBへのアップグレードは必要とされない。Myriad自体が事業者専用のアプリケーションマーケットを提供するので、ケーブルTV事業者は自社のサービスに競合しないアプリだけを選んで提供する事が出来る。
Androidではないスマート(コネクテッド)TVも発表された。その1つは、NetgearのNeoTVだ。NeoTV(NTV 200とも呼ばれている)のアプリケーションの多くはFlingoが開発している。Netgearは一時Rokuのパートナーで、Rokuの製品を自社ブランドで売っていた事がある。NeoTVは定価$100だが、実売は$70程度になる。
スマートTVが普及をする事で、スマートTVを使い、STB無しで多チャンネルサービスを提供する計画が現実化し始めている。多チャンネル事業者の一部はすでに多チャンネルサービスをIP同時再配信し、iPad向けの放送を始めている。同じ配信を使い、スマートTV向けのアプリを開発すれば、多チャンネルサービス同等の物をSTB無しで、TV向けに提供する事が可能になる。Samsungは、そのブースでComcast、Time Warner Cable、Verizon FiOS、それにDirecTVの4つの事業者向けのアプリを公開した。Comcast、Time Warner Cableのアプリケーションは、VODコンテンツへのアクセスだけであったが、FiOS、DirecTVのアプリケーションには、リニアチャンネルも含まれている。FiOSのアプリケーションは、現在Xbox向けに提供が始まった物とほぼ同様である。DirecTVのアプリケーションは、同社が提供を予定しているRVU Alliance仕様のDVRにMoCAを使い、アクセスする物で、DVRが受信する全番組、それにDVRに録画された番組をスマートTVからアクセスする事が可能になる。FiOS TVのアプリケーションは、LG向けにも提供され、また、PanasonicのブースでもTime Warner Cable向けのアプリケーションが公開されていた。